『人生はビギナーズ』試写



  • このエントリーをはてなブックマークに追加
試写室日記

本日は試写を1本。

『人生はビギナーズ』 マイク・ミルズ

マイク・ミルズの新作。彼のプライベートストーリーの映画化だが、これはほんとに素晴らしい。というより凄い。心を揺さぶられるだけではなく、サバービアや歴史に対する視点など実に奥が深い。

マイク・ミルズの父親は、45年連れ添った妻に先立たれたあと、75歳にして「同性愛者として残りの人生を楽しみたいんだ」とカミングアウトし、その言葉通りに人生を愉しみ、告白から5年後に他界したという。


しかしこの映画は、ミルズと父親のプライベートな世界が独特のオフビートなタッチで描き出されているだけではない。ミルズが『サムサッカー』で描いた冷戦以後のサバービアと冷戦時代のそれには大きな違いがある。

この『人生はビギナーズ』では、その違いというものが、巧みなコラージュや父親と息子のさり気ないドラマを通してとらえられている。表現は軽いように見えるが、ミルズは重さを理解してそのように描いている。

筆者が以前書いた『サムサッカー』のレビューでは、その違いを明らかにするために、ロバート・D・パットナムの『孤独なボウリング』を引用しているが、その内容がささやかなヒントになるはず。

●amazon.co.jpへ