『プリピャチ』劇場用パンフレット

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事故から12年後のチェルノブイリ、ゾーンのなかで生きる人々

“プリピャチ”とは、チェルノブイリ原発から4キロのところにあり、かつては発電所の労働者たちが暮らしていた街の名前だ。また、原発の脇を通ってドニエプル川に合流する川の名前でもある。この映画は事故から12年を経た時点で、原発から30キロ圏の立入禁止区域に暮らしていたり、そこで働いている人々の日常や彼らの言葉を記録したドキュメンタリーだ。

事故後、一度は移住したものの、故郷に戻ってきてそこで暮らしている老夫婦、事故以前からの職場だった環境研究所で働きつづけている女性、2000年まで運転が継続されていた発電所の3号機で働く技術者といった人々が登場する。『いのちの食べかた』のニコラウス・ゲイハルター監督の1999年作品。


3月3日(土)公開のこの映画の劇場用パンフレットに「日常のなかにある個人と環境の関係として描き出していく」というタイトルで作品評を書いております。私たちは、3・11を踏まえてこの1999年の作品を観るわけですが、いきなり重ねてしまうのでは、いささか作品に対して失礼な気がしたので、事故から12年の間に、ゾーンの内部と外部の世界でどのような時間が流れていたのかを振り返り、対比してみることから、このドキュメンタリーを位置づけるような書き方をしてみました。

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