『トランス』 劇場用パンフレット

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記憶の迷宮でせめぎ合う男女の欲望

2013年10月11日(金)より全国ロードショー公開になるダニー・ボイル監督の新作『トランス』の劇場用パンフレットに上記のタイトルでレビューを書いています。主演は、ジェームズ・マカヴォイ、ヴァンサン・カッセル、ロザリオ・ドーソン。『シャロウ・グレイブ』や『ザ・ビーチ』でボイルと組んだジョン・ホッジが脚本に参加しています。

物語は白昼のオークション会場からゴヤの「魔女たちの飛翔」が盗まれるところから始まります。40億円の名画を奪ったのは、ギャングと手を組んだ競売人のサイモンですが、なぜか計画とは違う行動に出た彼は、ギャングのリーダー、フランクに殴られ、絵画の隠し場所の記憶を失ってしまいます。そこで催眠療法士エリザベスが雇われますが、サイモンの頭のなかでは、主人公たちを翻弄するように記憶が迷宮と化していきます。


これはゴヤの絵画で始まり、ゴヤの絵画で幕を下ろす映画です。といっても、「魔女たちの飛翔」の盗難から始まり、その隠し場所が最後に明らかになるという物語の大きな流れのことをいっているのではありません。記憶の迷宮を彷徨い出口に到達してみると、すべてはゴヤの「裸のマハ」から始まり、主人公たちの関係が「魔女たちの飛翔」に重なるように終わると見ることもできるということです。

詳しいことは劇場用パンフレットに書きましたので、劇場で作品をご覧になりましたら、パンフもぜひチェックしてみてください。