『おじいちゃんの里帰り』 ヤセミン・サムデレリ・インタビュー 「キネマ旬報」掲載
ユーモラスに綴られたトルコ系移民家族の物語
トルコ系ドイツ人二世の女性監督ヤセミン・サムデレリの長編デビュー作、ドイツで30週以上のロングランとなり、150万人動員の大ヒットを記録した『おじいちゃんの里帰り』(11)が、2013年11月30日(土)より公開になります。
本日発売の「キネマ旬報」2013年12月上旬号に、上記のタイトルでヤセミン・サムデレリ監督のインタビューが掲載されています。全4ページで、筆者の考察も盛り込み、ボリュームのある記事になっています。
この映画、ヤセミンと実妹ネスリンが手がけた脚本がまず素晴らしい。60年代半ばにトルコからドイツに渡り、がむしゃらに働き、70代となったフセイン。そんな彼が里帰りを思いつき、それぞれに悩みを抱える三世代の家族がマイクロバスに乗り込み、故郷を目指します。さらに、家族の歴史の語り部ともいえる22歳の孫娘チャナンを媒介に挿入される過去の物語では、若きフセインがドイツに渡り、妻子を呼び寄せ、言葉も宗教も違う世界に激しく戸惑いながら根を下ろしていきます。
監督のヤセミンは、そんな構成によってあるトルコ系家族の過去・現在・未来を見つめていきます。トルコ系ドイツ人の監督といえば、ファティ・アキンがすぐに思い出されます。実はヤセミンは、そのアキンと同じ1973年生まれで、同世代としてドイツを生きてきたわけですが、映画ではアキンとはまた違った独自の視点でトルコ系移民の世界を描き出しています。
特に家族像や女性像など、アキンの『愛より強く』(04)などと比較してみると、その視点が興味深く思えてきます。ちなみにこの映画は、構想から完成まで10年もかかっていますが、それは題材よりもコメディというスタイルがなかなか受け入れられなかったからということです。つまりこの映画は、企画を通しやすくするためにコメディになっているのではないということです。詳しいことはぜひインタビュー記事をお読みください。
《関連リンク》
● 『おじいちゃんの里帰り』公式サイト
● ファティ・アキン・インタビュー 『ソウル・キッチン』