『サード・パーソン』 劇場用パンフレット
- アメリカ, エイドリアン・ブロディ, オリヴィア・ワイルド, キム・ベイシンガー, ジェームズ・フランコ, ポール・ハギス, マリア・ベロ, ミラ・クニス, モラン・アティアス, リーアム・ニーソン, 家族, 映画監督, 死, 記憶
三つの物語から浮かび上がる作家の葛藤と再生
2014年6月20日(金)よりTOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショーになるポール・ハギス監督の新作『サード・パーソン』の劇場用パンフレットに上記のようなタイトルで作品評を書いています。
この映画では、パリ、ローマ、ニューヨークという3つの都市を舞台に、3組の男女の関係が並行して描かれていきます。ところが物語が展開するうちに、普通ではありえないことが起こり、必ずしもリアリズムに立脚した作品ではないことに気づきます。
監督のハギスが「これは3つのラブストーリーのフリをしているけれど、実はパズルのような映画なんだ」(『サード・パーソン』公式サイト)と語っているように、この映画には、劇中に散りばめられたヒントを手がかりに、複雑な繋がりを読み解いていく楽しみがあります。(ちなみに、公式サイトには、ネタバレ不問でそれぞれの解釈を紹介するコーナーがあり、筆者も寄稿していますが、パンフレットの原稿とは違った切り口になっています)
ただし、これはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『複製された男』を観たときにも感じたことですが、パズルを解くことばかりを意識してしまうと、監督の鋭い洞察によって描き出される人物の心理を見逃してしまいかねません。
『スリーデイズ』レビューで書いたように、ハギス監督は、逆境にある主人公が、自分が心から求めるものを手にするために、固定観念や理性を捨て去り、一線を越える姿を描き出してきました。新作も例外ではありません。
パンフレットでは、パズルを解くと同時に、主人公の心理を掘り下げるような作品評を書いています。劇場で作品をご覧になりましたら、ぜひパンフレットもお読みください。