『アレクサンドリア』試写
本日は試写1本。
『アレクサンドリア』 アレハンドロ・アメナーバル
アレハンドロ・アメナーバルの新作なので早く観たいと思っていたが、なかなかタイミングが合わず、遅くなってしまった。
アメナーバルが、4世紀、ローマ帝国末期のアレクサンドリア、実在の女性天文学者ヒュパティアをどう描くのか期待していたが、それを上回る見応えのある作品だった。
本日は試写1本。
アレハンドロ・アメナーバルの新作なので早く観たいと思っていたが、なかなかタイミングが合わず、遅くなってしまった。
アメナーバルが、4世紀、ローマ帝国末期のアレクサンドリア、実在の女性天文学者ヒュパティアをどう描くのか期待していたが、それを上回る見応えのある作品だった。
トルコ系ドイツ人のファティ・アキンは、ベルリン国際映画祭グランプリを受賞した『愛より強く』やカンヌ国際映画祭脚本賞を獲得した『そして、私たちは愛に帰る』によって、世界的な注目を集める監督になった。その2作品では、トルコ系ドイツ人というバックグラウンドと結びつくテーマがシリアスに掘り下げられていたが、ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞・ヤングシネマ賞をW受賞した新作『ソウル・キッチン』には、様々な意味で2作品とは異なる方向性が見られる。
この映画は、ハンブルクにあるレストラン“ソウル・キッチン”を中心に展開していくコメディだ。店のオーナー兼シェフは、ギリシャ系のジノス(アダム・ボウスドブコス)。彼が倉庫を買い取り、自分で配管までした店のメニューは、誰でも料理できる冷凍食品ばかりであり、常連客はいるものの、繁盛しているとはいいがたい。
カメン・カレフ監督のブルガリア映画『ソフィアの夜明け』を観て、ソフィア出身のバンド“Nasekomix”に魅了された人は少なくないはず。この映画には、<Lady Song>と<Inject Love Song (Inject Me With Love)>の2曲が、彼らの演奏シーンとともに挿入されていた。
『Adam’s Bushes Eva’s Deep』は、彼らのデビューアルバム。エレクトロニック、ジャズ、パンク、タンゴなど多様なジャンルを取り込みつつ、無駄を削ぎ落とし、空間を生かすミニマルな音作り。だから、アコーディンやキーボードも担当するAndronia Popovaの囁きかけてくるような、影と透明感のあるヴォーカルが際立ち、独特の親密さを生み出す。
試写を2本観た。
フランス語の原題が『Des hommes et des dieux』、英語の題名が『Of Gods and Men』、そして邦題が『神々と男たち』。心を揺さぶられる映画であることは間違いないが、どう揺さぶられるかによって、この違いがかなり気になってくる。
警官と彼の命ともいえる銃。警官たちの間で銃とその持ち主が次々とずれていき、幽霊が跳梁し、銃をとおしてみたときにはもはや誰が誰を撃っているのかわからなくなる。そのカオスと覚醒の落差がなんとも心地よい。
今週は『ヤコブへの手紙』『ジャライノール』『愛する人』『ソーシャル・ネットワーク』の4本です。
公開より後になってしまいますが、1月20日発売の「CDジャーナル」2月号にレビューを書いています。
その昔、ジム・ジャームッシュは自分のスタイルを “less is more” という言葉で表現していた。説明や情報を削ぎ落としていけば、空間が広がり、自由な解釈や想像の余地が生まれる。逆にテレビの2時間ドラマのように、何でもかんでも説明してしまえば、 “more is less” になる。このフィンランド映画は、そんな “less is more” が効力を発揮する作品であり、描かれない部分の解釈によってドラマが奥深いものになっていく。