『ブローン・アパート』『サラエボ、希望の街角』『ランナウェイズ』試写

試写室日記

試写を3本観た。

『ブローン・アパート』 シャロン・マグアイア

チラシでは「欲望と心を引き裂く、愛と裏切りのサスペンス」という触れ込みになっているが、実際に観たらまったく違う印象を受けるはず。海外では賛否がはっきり分かれているようだが、否定派はテロ絡みのサスペンスか、ミシェル・ウィリアムズユアン・マクレガーのメロドラマを期待して落胆したのではないか。

筆者はすんなり入り込めた、というより引き込まれた。この映画の中心にあるのは、幼いわが子を亡くしたヒロインの喪の作業で、それにテロ事件の裏に潜む真実が影響を及ぼす(ビンラディンへの手紙=モノローグはない方がいいと思うが…)。テロのことを考えなければ、 『オール・アバウト・マイ・マザー』『心の羽根』『まぼろし』などに近い。ミシェル・ウィリアムズ、好きな女優だが、この映画でも存在感が際立っている。詳しいレビューは近いうちに。

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趙曄(チャオ・イエ)『ジャライノール』レビュー



Review

ふたりは「日常」と「記憶」のはざまにある風景を旅する

中国映画界の新鋭チャオ・イエ監督の長編第2作『ジャライノール』は、実に素晴らしい映画だった。

舞台は、ロシアと国境を接する内モンゴル自治区にあるジャライノール炭鉱。そこは蒸気機関車の最後の聖地といわれる場所であり、その広大な風景のなかに、年老いた機関士ジュー・ヨウシアンと、年の離れた後輩リー・ジーチョンの絆が描き出される。

チャオ・イエ監督が見つめるのは明らかに消えゆくものだが、この映画にはノスタルジーとは一線を画す強度がある。

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『ジャライノール』2011年1月15日(土)よりポレポレ東中野にてロードショー!!

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『アンチクライスト』『トスカーナの贋作』試写

試写室日記

試写を2本観た。

『アンチクライスト』 ラース・フォン・トリアー

試写室で河原晶子さんにお会いする。河原さんは2度目だそうだ。

すごい映画だった。「死」→「喪」→「森」→「動物と人間」→「pain」→「nature」→「genocide」と、筆者が強い関心を持っている要素が、すさまじい映像の力で次々と押し寄せてきて、心の準備もできないままに心拍数が上がり、最後は異様な興奮状態に陥っていた。こういう体験ができる映画はめったにない。本当に病んでないとこういう映画は撮れないだろう。

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「週刊朝日」の映画採点表



News

「週刊朝日」の2011年発売号より映画採点表を担当させていただくことになりました。第1回目の作品は、デイヴィッド・フィンチャーの『ソーシャル・ネットワーク』です。ちなみにこの映画については、現在発売中の月刊「宝島」2011年2月号のコラム「試写室の咳払い」でも取り上げています。

フランソワ・オゾン『しあわせの雨傘』



News

本日(1月8日)から公開になるフランソワ・オゾン監督の新作『しあわせの雨傘』の劇場用パンフレットに、「女性の内なる欲望や抑圧を描きつづけるフランソワ・オゾンの妙技」というタイトルで、彼の過去作にも言及した作品評を書いています。

男女の関係と政治が入り組む台詞のやりとりや立場の逆転、象徴的な水の表現などに、オゾンらしさがよく出ていておススメです。

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