マイケル・ウィンターボトム 『トリシュナ』 上映
ナラティブな要素を削ぎ落とし、状況を浮き彫りにする
東京国際映画祭のコンペ作品の1本、マイケル・ウィンターボトム監督の『トリシュナ』を会場で観た。原作はトマス・ハーディの『テス』。ウィンターボトムにとってハーディの小説の映画化は、『日陰のふたり』、『めぐり逢う大地』につづいて3度目ということになる。但し、最初からハーディの小説の映画化を目指していた作品ばかりではない。
『めぐり逢う大地』の場合は、アメリカになる前のアメリカを題材にした作品の構想を練っているうちに、それがハーディの世界に重なり、映画化ということになった(マイケル・ウィンターボトム・インタビュー参照)。この新作も、舞台を現代のインドに移しての映画化なので、その可能性もある。