『パッション』 劇場用パンフレット

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表層と無意識、現実とイメージ――独自の視点で描く個と世界

10月4日(金)よりTOHOシネマズみゆき座ほかで全国ロードショーになるブライアン・デ・パルマ監督の新作『パッション』の劇場用パンフレットに、上記のタイトルで長めのレビューを書いています。主演はレイチェル・マクアダムスとノオミ・ラパス。デ・パルマが最も得意とするサスペンス・スリラーのジャンルの作品です。

殺人のシーンで使われるスプリット・スクリーンや終盤に謎めいた雰囲気をかもしだす双子のイメージなど、これまでのデ・パルマのスタイルや世界を継承した作品のように見えますが、映画が浮き彫りにする女性像には大きな違いがあるように思えます(ハリウッドを離れ、ヨーロッパ資本で、ドイツのベルリンで撮影したことがなんらかの心境の変化につながっているのかもしれません)。

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フレデリック・フォンテーヌ 『タンゴ・リブレ 君を想う』 レビュー

Review

タイムレスな空間で繰り広げられる大人のおとぎ話

『ポルノフラフィックな関係』で知られるフレデリック・フォンテーヌ監督の新作の主人公は、刑務所の看守として働く孤独な男J.C.だ。彼の生活は単調きわまりないが、週に一度通うタンゴ教室ではいくらかリズムが変わる。

ある日、そのタンゴ教室に30代の女性アリスがやってきて一緒にタンゴを踊ることになる。彼女は15歳の息子がいる母親だったが、J.C.はその色香に心を動かされる。翌日、彼は刑務所の面会室でアリスの姿を目にする。彼女の面会相手はふたり。ひとりは夫で、もうひとりは愛人で、彼らは事件の共犯者だった。

この映画では、J.C.、アリス、夫、愛人の運命が、タンゴを絡めたドラマを通して変わっていく。『ポルノフラフィックな関係』のときもそうだったが、男と女の距離の変化や心の揺れを巧みにとらえてみせるフォンテーヌ監督の手腕が光る。

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