実在の奴隷解放運動家を描いた『ハリエット』の劇場用パンフレットに寄稿しています

News

ハリエットが聞いた神の声とアフリカ文化

19世紀半ばに奴隷州から自由州への逃亡を果たし、秘密結社“地下鉄道”の車掌となって奴隷解放運動家として頭角を現すハリエット・タブマン。彼女の自由への渇望、変容と覚醒を描くケイシー・レモンズ監督の『ハリエット』(19)の劇場用パンフレットに、「ハリエットが聞いた神の声とアフリカ文化」というタイトルでレビューを書いています。

本作では、窮地に陥ったハリエットが発揮する不思議な能力に戸惑いを覚える人もいるかもしれませんが、そのことについては様々な証言が残されています。そして、彼女の深く強い信仰心やニグロ・スピリチュアルが果たす役割とアフリカの口承文化や超自然的な力の信仰を結びつけてみると、その能力がとても興味深く思えてきます。

2020年6月5日(金)TOHOシネマズシャンテ他、全国ロードショー。

再上映が始まった『ようこそ、革命シネマへ』の劇場用パンフレットに寄稿しています



News

映画と政治、世代を超えた共感と歴史の重み

ベルリン国際映画祭 パノラマ部門でドキュメンタリー賞と観客賞を受賞したスハイブ・ガスメルバリ監督の長編デビュー作『ようこそ、革命シネマへ』(19)。6月に入って再上映が始まりつつある本作の劇場用パンフレットに、「映画と政治、世代を超えた共感と歴史の重み」というタイトルでレビューを書いています。

スーダンの映画産業が崩壊した世界で、小さな上映会を開き、廃墟となった映画館を復活させるために尽力する4人のベテラン映画製作者たちを追ったドキュメンタリー。9歳のときに独裁政権によって映画を奪われたガスメルバリ監督の軌跡も踏まえて作品を掘り下げる内容になっています。

▼ ガスメルバリがTVのためにつくった短編「Sudan’s Forgotten Films」(英語)も参考になると思います。

▼ 『ようこそ、革命シネマへ』予告

ユーロスペースでは6月1日(月)~再上映

『コリーニ事件』|ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」記事

News

世代間の溝、ドイツの「過去の克服」が掘り下げられる『コリーニ事件』

ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」の2020年6月11日更新記事で、フェルディナント・フォン・シーラッハのベストセラー『コリーニ事件 (創元推理文庫)』を映画化したマルコ・クロイツパイントナー監督の『コリーニ事件』(19)を取り上げました。

本作を観て筆者がすぐに思い出したのは、ペーター・ライヒェルの『ドイツ 過去の克服―ナチ独裁に対する1945年以降の政治的・法的取り組み (叢書ベリタス)』の最後の方で詳述されている「ナチ時代に犯された犯罪の時効問題」のこと。そこらへんも引用しつつ、ドイツ固有の「過去の克服」というテーマがどのように掘り下げられているのかを書きました。

コラムをお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。

世代間の溝、ドイツの「過去の克服」が掘り下げられる『コリーニ事件』

2020年6月12日(金)ロードショー