『ローン・レンジャー』 劇場用パンフレット

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『パイレーツ』3部作とは異なるアプローチで挑んだジェリー×ゴア×ジョニーの会心作

告知がたいへん遅くなってしまいましたが、8月2日(金)より公開中の『ローン・レンジャー』の劇場用パンフレットに、上記のようなタイトルでレビューを書いています。

この『ローン・レンジャー』を、ジェリー・ブラッカイマーとゴア・ヴァービンスキーとジョニー・デップという『パイレーツ』シリーズのチームが作り上げた新たなエンターテイメント大作と受け止めることはもちろん間違いではないのですが、三者のバランスは明らかに『パイレーツ』とは違います。

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ユン・ジョンビン 『悪いやつら』 レビュー

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“ハンパ者”のサバイバルを通して炙り出される韓国軍事主義

韓国の新鋭ユン・ジョンビン監督の『悪いやつら』は、1982年の釜山から始まる。

賄賂で退職の危機に陥った税関職員のチェ・イクヒョンは、押収した覚醒剤の横流しを企てたことから暴力組織の若きボス、チェ・ヒョンベに出会う。そのヒョンベは偶然にも遠い親戚だった。彼の信頼を得たイクヒョンは、公務員時代のコネや血縁を駆使して裏社会でのし上がっていく。

だが、チョン・ドゥファンの後を継いだノ・テウ大統領が1990年に組織犯罪の一掃を目指す“犯罪との戦争”を宣言すると、二人の間に亀裂が生じるようになる。

そんなドラマでは、男たちの壮絶な生き様や暴力描写が際立つが、ユン監督の関心は背景となる社会に向けられている。

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リー・ダニエルズ 『ペーパーボーイ 真夏の引力』 レビュー

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ミステリーの背後でせめぎ合う人種、階層、セクシャリティ

『プレシャス』で注目されたリー・ダニエルズ監督の新作『ペーパーボーイ 真夏の引力』は、まだ人種差別が根深く残る60年代末の南部フロリダを舞台にした異色のノワールだ。

田舎町における青年ジャックの鬱屈した日々は、マイアミの新聞社に勤める兄ウォードの帰省でがらりと変わる。彼の目的はヒラリーという死刑囚の冤罪疑惑の調査だったが、それを手伝うことになったジャックは、調査の依頼主である死刑囚の婚約者シャーロットに心を奪われ、悪夢のような世界に引き込まれていく。

人種差別主義者の保安官がめった刺しにされた事件で、冤罪疑惑が浮上するとなれば、時代や舞台から死刑囚は黒人だと思いたくなる。ところが、そんな予想が裏切られるばかりか、白人と黒人をめぐる単純な図式が次々と覆されていく。

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ミゲル・ゴメス 『熱波』 レビュー



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幽霊の噂とは何か、ポルトガルの新鋭による“消え去ったものの痕跡”についての考察

ポルトガル映画界の新鋭ミゲル・ゴメス監督の『熱波』は、緻密に構築されたモノクロの映像世界が実に不思議な印象を残す作品だ。

その物語は、現代ポルトガルの都市を舞台にした「楽園の喪失」と植民地時代のアフリカを舞台にした「楽園」の二部で構成されている。

第一部に登場するのは、80代の孤独な老女アウロラと彼女の世話をするメイドのサンタ、そして彼らの隣人で、定年後に奉仕活動に精を出すカトリック信者の女性ピラール。病に倒れ、死期が近いことを悟ったアウロラは、ベントゥーラという男を探すように二人に頼む。見つかったベントゥーラは、アウロラの死に目には間に合わないが、二人に50年前の出来事を語り出す。

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キム・ギドク 『嘆きのピエタ』 レビュー



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復活したキム・ギドクの変化、
異空間へと飛躍しない理由とは

『悲夢』の撮影中に女優が命を落としかける事故が起こったことをきっかけに、失速、迷走していた韓国の鬼才キム・ギドク。

ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた新作『嘆きのピエタ』では、そんな監督が復活を告げるだけではなく、興味深いスタイルの変化を見せる。

天涯孤独で冷酷な取り立て屋イ・ガンドの前にある日、母親を名乗る謎の女が現れる。彼は戸惑いつつも女を母親として受け入れていくが、果たして彼女は本当に母親なのか。そしてなぜ突然、彼の前に現れたのか。

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