『スリーデイズ』 劇場用パンフレット



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ラッセル・クロウ主演、ポール・ハギス監督最新作!

フランス映画『すべて彼女のために』(ビデオ・タイトル:ラスト3デイズ~すべて彼女のために)をポール・ハギスがリメイクした『スリーデイズ』が本日(9月23日)より公開になります。サスペンス・アクションといわれるような題材でも、ハギスは独自の視点を埋め込み、個人と時代や社会の関係を浮き彫りにしています。

この映画の劇場用パンフレットで、「代償は高くても自由を求める意味を考える」というタイトルのコラムを書いています。『ミリオンダラー・ベイビー』『クラッシュ』『告発のとき』などとの繋がりにも言及したポール・ハギス論になっています。劇場で作品をご覧になったらぜひチェックしてみてください。

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想田和弘 『Peace』 レビュー



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瞬間の中に大切なものが見える

想田和弘監督の『Peace ピース』(10)は、『選挙』(07)、『精神』(08)につづく〝観察映画〟の最新作だが、その冒頭には「第3弾」ではなく「番外編」の文字が浮かび上がる。

この作品の出発点は、想田監督が韓国・非武装地帯ドキュメンタリー映画際から「平和と共存」をテーマにした短編を依頼されたことだった。想田監督の独自のアプローチである観察映画では、あらかじめテーマを決めることなく、先入観を排除して被写体にカメラを向ける。テーマは撮影や編集を通して後から見えてくるものなのだ。

だから彼は依頼を断るつもりだったが、岡山にある妻の実家に帰って、義父が世話する野良猫たちを目にして気が変わった。そして、短編の予定だった映画はいつしか75分の長編になっていた。

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セミフ・カプランオール 『卵』 『ミルク』 『蜂蜜』 (ユスフ3部作)レビュー



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発作、夢、死、動物――見えない世界への扉が開かれる

トルコ映画界を代表するセミフ・カプランオール監督の“ユスフ三部作”は、ユスフという人物の人生や世界を題材にしているが、その構成が少し変わっている。彼の成長過程を追うのではなく、壮年期から青年期、幼少期へと遡っていくのだ。但し、厳密には過去へと遡るわけではない。三作品はいずれも現代のトルコを背景にしているからだ。

第一部の『卵』では、イスタンブールに暮らす詩人ユスフのもとに母親の訃報が届き、遠ざかっていた故郷に戻った彼のなかに失われた記憶が甦ってくる。

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ジョエル&イーサン・コーエン 『シリアスマン』 レビュー

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不運を嘆き、考え込むのではなく、笑いに転化して前に進む

コーエン兄弟の『シリアスマン』は、これまでの彼らの作品と違った印象を与えるかもしれない。それは、ユダヤ系の家族やコミュニティのドラマにこの兄弟のバックグラウンドが反映されているからだ。しかし、ユダヤの文化や慣習を理解していなければ楽しめないということはない。この映画は、ひとつのことを頭に入れておけば、たっぷり楽しむことができる。

たとえば、ユダヤ文学には、シュレミール(schlemiel)やシュリマゼル(schlemazel)というように表現される人物像が頻繁に登場する。それらは、なにをやっても裏目に出るドジな人物や災いばかりが降りかかるどうにもついてない人物を意味する。コーエン兄弟にとってこうした人物像は身近なものであるはずだ。

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アピチャッポン・ウィーラセタクン 『ブンミおじさんの森』 レビュー

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私たちはブンミによって現世と他界の境界に導かれる

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の『ブンミおじさんの森』には、常識では計り知れない出来事が起こる。だが、それを単純にファンタジーと表現してしまうと、何か大切なものが抜け落ちてしまうように感じる。

死期を悟ったブンミは、森の奥へと分け入り、洞窟の深い闇のなかで、自分がそこで生まれたことを思い出す。「生きているうちは思い出せなかったが」と語る彼は、すでに死者の側から世界を感知している。私たちはブンミによって現世と他界の境界に導かれている。そこで思い出されるのは「山中他界観」だ。

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