『In The Mist』 by Harold Budd

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デレク・ジャーマン、サイ・トゥオンブリー、死者との交感

ハロルド・バッドは、『Avalon Sutra』でひとたび引退宣言をしたものの、それを撤回し、音楽活動をつづけている。『In The Mist』は、この1936年生まれのコンポーザー/ピアニストの年齢にも関わる境地を感じさせる作品になっている。

全体は、“The Whispers”、“The Gun Fighters”、“Shadows”の三部で構成されている。一部は静謐なピアノ主体、二部ではパーカッシブな要素が入り(といっても基本的なトーンは変わらない)、いくぶん動的になり、三部は静謐なストリング・クァルテットで締めくくられる。

『In The Mist』

harold budd – in the mist (album preview) by experimedia

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『Collage d’intentions part one & two』 『White Midsummer Forest』 by eeem

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鳥の声に導かれてフィンランドの音の森を散策する

筆者が住んでいるビルの隣にたっている古い建物、その壁面にあいた穴に名前も知らない鳥が巣をつくり、毎日、朝から賑やかな鳴き声が聞こえる。

そのせいかどうかわからないが、最近は、自然の音のなかでも特に鳥の声に敏感になっているような気がする。

時間があるときには、世界各地の鳥の声をレクチャーしてくれるaudiobookを聴いたりもする。↓たとえばこれは、イギリスの森林地帯に住む鳥たちのガイド。他にもいろいろあるので、いずれ取り上げるかもしれない。

『A Guide to British Woodland Birds』

フィンランドのヘルシンキを拠点に活動するEeemの音楽は、ジャンルでいえばエレクトロニック・アンビエントということになるかと思うが、鳥の声を使ったサウンドスケープが印象に残る。

『Collage d'intentions part one』

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『You Are Not Alone I & II (Sohrab remix album)』 by Various Artists

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大都市テヘランに生きるミュージシャンの孤独と絶望

昨年公開されたクルド系イラン人の監督バフマン・ゴバディの『ペルシャ猫を誰も知らない』(09)には、テヘランのアンダーグラウンドで活動する様々なミュージシャンたちが登場する。インディ・ロック、フュージョン、ブルース、ヘヴィメタ、ラップなどなど。ただしこの映画、ドキュメンタリーではない。ゴバディはアンダーグラウンドのミュージシャンとの出会いをきっかけに、ドキュメンタリー、フィクション、ミュージックヴィデオ、即興などが融合したユニークな作品を作り上げた(※無許可のゲリラ撮影であったため、ゴバディは祖国を離れることになった)。

バフマン・ゴバディ・インタビュー『ペルシャ猫を誰も知らない』

テヘラン出身のミュージシャンSohrabはこの映画には登場しないが、彼のアルバム『A Hidden Place』にはもうひとつのイランを見出せる。彼が切り拓くエレクトロニック・アンビエントの世界は、アメリカで活動するイラン人批評家ハミッド・ダバシが主張するような多文化的、混合主義的、異種交配的な性格を備えているように思える。

『A Hidden Place』 (2010)

Sohrabは1984年、テヘランに生まれ。兄弟や友だちとパンク・バンドを結成したが、自由な表現や活動が許されず、2年で解散した。そして、孤立した状況のなかで、エレクトロニック・アンビエントの世界を切り拓いた。

Sohrab “A Hidden Place” from Touch on Vimeo.

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『coast range arc』 by Loscil

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カナダの険しい山々にインスパイアされたサウンドスケープ

Loscilは、カナダ出身のエレクトロニック・アンビエントの作曲家Scott Morganのプロジェクトだ。彼はすでに5枚を超える作品を発表しているが、この新作『coast range arc』は、ジャケットアートを見ただけでもテーマが異なることがわかる。

これまでの作品はKrankyからのリリースだったが、新作はGlacial Movements。このイタリアのレーベルは、ジャケットアートも統一され、かなり明確なテーマやカラーを持っている。人類が忘れ去ってしまった場所としての氷の世界を呼び覚まし、独自のサウンドスケープを切り拓こうとするアンビエント・レーベルとでもいえばよいか。

『coast range arc』 (2011)

loscil – coast range arc (album preview) by experimedia

ひと口に氷の世界といっても、ミュージシャンによって様々なアプローチがあるが、Loscilの場合には、具体的なものや場所からインスピレーションを得る傾向が強い。新作も例外ではない。

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『There He Unforeseen』 by Hallock Hill

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陽光が差し込む板壁の向こうとこちらにはどんな世界が広がっているのか

Hallock HillことTom Leckyの『The Union』については、以前にアルバム日記で取り上げたが、早くも新しいアルバム『There He Unforeseen』が登場した。『The Union』のジャケット・アートは、巨大なシャンプレーン湖にたつ波のイメージだったが、こちらは自然そのものではなく、小屋の板壁の隙間から陽光が差し込むイメージだ。そして中身も、楽器やスタイルなど異なる空間が広がっている。

there he unforeseen

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