『コンテイジョン』 『指輪をはめたい』 試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『コンテイジョン』 スティーヴン・ソダーバーグ

パンデミックを題材にしたソダーバーグの新作。マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレットという豪華キャスト。

個人的には、この作品に限らず、パンデミックとかウイルスという題材と映画の相性はあまりよくないと思っている。見えないものをなんとか可視化し、動きとして表現しなければ緊張が持続しないからだ。だからこの映画も、見えないものから微妙に視点をずらしながら、可視化していく。


たとえば、先進国と後進国の間にある溝とか、関係者と一般市民の間にある溝とか、ある人物の社会的な立場と個人的な感情との矛盾といったことだが、詳しいことはいずれまた。

『指輪をはめたい』 岩田ユキ

『檸檬のころ』の岩田ユキ監督の新作。その『檸檬のころ』では幸運にも劇場用パンフレットに作品評を書かせていただく機会に恵まれたのだが、やはりこの監督は面白い! あまり言葉やストーリーに頼らずしっかり映像で見せる。

『檸檬のころ』の榮倉奈々、谷村美月、柄本佑、石田法嗣、林直次郎、中村麻美というキャスティングもよかったが、今回の山田孝之、小西真奈美、真木よう子、池脇千鶴、二階堂ふみという顔ぶれも、身体や身振りの違いが生かされている。

かなりファンタジックな表現を多用しているので、一見すると前作とはまったく違う作品のように見えるが、実はしっかり繋がっている。どちらも主人公が逡巡しながら前に踏み出していく話だが、そのきっかけとして他者と理解し合い、価値観を共有し、成長していくという展開にならない。

他者とは交差するだけで、自分ひとりで考え込む。だが、そういう交差が繰り返されるうちに、「考える」のではなく「感じる」瞬間が訪れ、前に踏み出す。そういうところの表現が巧みなのだ。

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