『エッセンシャル・キリング』試写
- アク・ロウヒミエス, アピチャッポン・ウィーラセタクン, イエジー・スコリモフスキ, セミフ・カプランオール, ポーランド, ミケランジェロ・フランマルティーノ, ラース・フォン・トリアー, 動物性, 自然, 風景, 9・11以後
本日は試写を1本。
『エッセンシャル・キリング』 イエジー・スコリモフスキ
『アンナと過ごした4日間』で見事な復活を遂げたポーランドの巨匠スコリモフスキの新作。主演はヴィンセント・ギャロ。ヴェネチア国際映画祭で、審査員特別賞と主演男優賞を獲得している。
作品の構造は、ジャームッシュの『ダウン・バイ・ロウ』を想起させる。『ダウン・バイ・ロウ』では、一部のニューオーリンズから二部の刑務所、そして三部の脱獄後の空間へと、情報や記号が消し去られていき、主人公たちは時代も場所も定かではないどこでもない場所へと彷徨いだす。
スコリモフスキはそれを9・11以後の世界でやってしまう。アフガニスタンから始まり、捕虜として収容所に連行され、逃亡の先にはどこでもない場所が広がる。
しかしこの映画はそこで終わらない。というよりも、本当に重要なのはそこからだ。どこでもない場所、苛酷な自然のなかでのサバイバルからは、自然と人間、動物性、狩猟といったテーマが浮かび上がってくる。
『ダウン・バイ・ロウ』をあっさりと突き抜け、ラース・フォン・トリアーの『アンチクライスト』、アピチャッポン・ウィーラセタクンの『ブンミおじさんの森』、ミケランジェロ・フランマルティーノの『四つのいのち』、セミフ・カプランオールの『蜂蜜』、アク・ロウヒミエスの『4月の涙』などに連なる世界を切り拓いてしまう。スコリモフスキ、面白すぎる。
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