『朱花の月』 『大鹿村騒動記』 『一枚のハガキ』試写
本日は邦画の試写を3本。
『朱花の月』 河瀨直美
『殯の森』(07)、『七夜待』(08)、『玄牝-げんぴん-』(10)の河瀨直美監督の新作。タイトルの「朱花」は「はねづ」と読む。万葉集に登場する朱色の花だという。
畝傍山、香具山、耳成山からなる“大和三山”が出てくるというだけで個人的に興味をそそられていたが、91分のなかに多様な要素が盛り込まれていることもあり、映画を観た時点では全体像がはっきりしていなかった。
しかし、家に戻ってから作品を振り返るうちに、断片と断片が結びつき、焦点が合い、ゾワゾワ、ゾクゾクしてきた。詳しくはいずれレビューで。
●河瀨直美インタビュー 『七夜待』 (crisscross)
『大鹿村騒動記』 阪本順治
痛快!だけどそれだけではない。面白いことに『朱花の月』にもこの『大鹿村騒動記』にも、ふたりの男がひとりの女を奪い合うというエピソードが盛り込まれている。この映画の村歌舞伎は、『朱花の月』が炙り出す見えないものを、見えるもの(あるいは見せるもの)として表現しているとみることもできる。
『一枚のハガキ』 新藤兼人
芝居も素晴らしいが、最も印象に残ったのは音響、あるいは背景だ。最初のシーンから最後までほとんどの場面で鳥や虫の声が静かに響き、あるいは背景としての自然が浮かび上がる。人間のドラマの背景には常に変わらない自然があり、ドラマにもその気配が漂い、主人公の男女は最後に自然とともに生きることになる。