『ジャッキー・コーガン』 『隣人 ネクストドア』 試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『ジャッキー・コーガン』 アンドリュー・ドミニク

『ジェシー・ジェームズの暗殺』(07)のアンドリュー・ドミニク監督とブラッド・ピットが再び組んだ作品なので、当然、一筋縄ではいかない。筆者がチェックした限りでは、アメリカの評価は気持ちいいくらいに真っ二つに分かれている。大絶賛かボロクソか。

筆者は、ドミニク監督のアプローチが見えたところですんなりツボにはまる。ブログにも表れていると思うが、筆者はポスト・カトリーナのニューオーリンズに強い関心を持ち、それがどのように音楽や映画に表現されるかに注目してきた。

たとえば、クリスチャン・スコットの『アンセム』(07)、ダーティ・ダズン・ブラス・バンドの『What’s Going on』(06)、Ted Hearneの『Katrina Ballads』(10)、Hurray for the Riff Raffの『It Don’t Mean I Don’t Love You』(09)、ヴェルナー・ヘツォークの『バッド・ルーテナント』(09)、ロジャー・ドナルドソンの『ハングリー・ラビット』(11)、そして、最近の試写室日記に書いたばかりのベン・ザイトリンの『ハッシュパピー バスタブ島の少女』(12)などだ。


そしてこの『ジャッキー・コーガン』もそこに加えることができる。これはジョージ・V・ヒギンズの小説の映画化だが、ドミニク監督は原作の74年のボストンという設定を08年、ポスト・カトリーナのニューオーリンズに変更し、ストーリーをブッシュ政権末期やオバマとマケインの大統領選と絡ませ、ブラックコメディに仕立て上げている。

映画に登場する女性は娼婦がちょこっとだけで、あとは、リチャード・ジェンキンスに、ジェームズ・ガンドルフィーニに、レイ・リオッタに、サム・シェパード。渋い!

『隣人 ネクストドア』 ポール・シュレットアウネ

同じポール・シェレットアウネ監督で、ノオミ・ラパスが主演の北欧サイコスリラー『チャイルドコール 呼声』(11)がメインで、こちらはそれとカップリングでレイトロードショー公開される05年作品。

75分という短めの作品ながら、男性の心理の痛いところを容赦なく突いてくる。その視点と表現は、最近の作品でいえば、ジム・シェリダンの『ドリームハウス』に通じるものがある。精神疾患、夢、狂気、統合失調症などに対するこの監督の関心はそうとうなものだと思う。

『チャイルドコール 呼声』も今週中に観る予定。こちらもヒロインの精神世界を掘り下げていく作品のようだ。最近、そっち方面の本をよく読んでいるので、楽しみ。