『パッション』 劇場用パンフレット
表層と無意識、現実とイメージ――独自の視点で描く個と世界
10月4日(金)よりTOHOシネマズみゆき座ほかで全国ロードショーになるブライアン・デ・パルマ監督の新作『パッション』の劇場用パンフレットに、上記のタイトルで長めのレビューを書いています。主演はレイチェル・マクアダムスとノオミ・ラパス。デ・パルマが最も得意とするサスペンス・スリラーのジャンルの作品です。
殺人のシーンで使われるスプリット・スクリーンや終盤に謎めいた雰囲気をかもしだす双子のイメージなど、これまでのデ・パルマのスタイルや世界を継承した作品のように見えますが、映画が浮き彫りにする女性像には大きな違いがあるように思えます(ハリウッドを離れ、ヨーロッパ資本で、ドイツのベルリンで撮影したことがなんらかの心境の変化につながっているのかもしれません)。
これまでデ・パルマが描いてきた女性像は、その背景にある父権制社会や男性優位主義と深く関わっていましたが、この映画ではそれらを象徴するような男性が絡んでくることはありません。そういう世界から踏み出し、スマホの時代の個と世界の関係を巧みに描き出しているといえます。
劇場用パンフレットのレビューではそこらへんを掘り下げてみましたので、ぜひお読みください。