『Peace ピース』 『おじいさんと草原の小学校』 『ハウスメイド』試写
本日は試写を3本。
『Peace ピース』 想田和弘
“観察映画”という独自のアプローチによってドキュメンタリーの可能性を広げる想田和弘監督。『選挙』(07)、『精神』(08)につづく観察映画第3弾は、平田オリザと青年団を題材にした『演劇(仮題)』のはずだが、そちらは編集中で、先に公開されるこの『Peace』(10)は、「観察映画番外編」という位置づけになっている。
あらためてレビューを書くつもりだが、やはり観察映画は面白い。テーマに縛られず、先入観を排除して、対象にビデオカメラを向ける。この映画では、人間の世界と猫の世界が対等なものとして描かれる。そこには共同体があり、決して楽とはいえない生の営みや老いがある。
想田監督はすでに『精神病とモザイク タブーの世界にカメラを向ける』(中央法規、2009年)という著書を出しているが、『Peace』の公開と同時に書籍も刊行する。『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか(仮題)』(講談社現代新書より7月15日刊行予定)。
『おじいさんと草原の小学校』 ジャスティン・チャドウィック
50~60年代にケニア独立のために闘い、2003年に小学校の無償化の知らせを受けて、字が読みたい一心で80代で入学を果たし、未来を切り拓いた実在の人物キマニ・マルゲの物語。
甦ってくる50年前の悪夢に苦しむ主人公の姿を見ながら、彼が属していた“マウマウ団”に関する本をだいぶ前に読んだことを思い出した。背景などけっこうしっかり掘り下げられているように見える。詳しいことはいずれレビューで。
『ハウスメイド』 イム・サンス
『浮気な家族』、『ユゴ 大統領有故』のイム・サンス監督の新作。筆者は観たことないが、故キム・ギヨン監督の『下女』(60)のリメイクとのこと。
主な舞台となる大邸宅の造形と登場人物や物語との関係、韓国の現代社会と映画の関係を踏まえてみると、ピーター・グリーナウェイ監督の『コックと泥棒、その妻と愛人』のようなことをやろうとしているのではないかと思えてくる。
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