『幸せパズル』 劇場用パンフレット
アルゼンチン映画界で最も期待される女性監督のデビュー作!
ゴンサロ・カルサーダの『ルイーサ』、ファン・ホセ・カンパネラの『瞳の奥の秘密』、東京国際で公開されたディエゴ・レルマンの『隠れた瞳』など、最近のアルゼンチン映画にはそそられるものがある。12月に公開予定のダニエル・ブスタマンテの『瞳は静かに』も気になっている(こうしてみるとその邦題では「瞳」という言葉が目立つが単なる偶然なのか)。
こうした作品のタイプやスタイルはいろいろだが、非常に大胆に、あるいは実に巧妙に負の歴史、伝統、現代の社会などが描き出されている。そして、明日(10月1日)から公開になる『幸せパズル』も注目のアルゼンチン映画。新鋭ナタリア・スミルノフのデビュー作で、劇場用パンフレットに「マチスモの世界の中で、主婦・マリアが求めたもの、見つけたもの。」という作品評を書いています。
『ラテンアメリカ 新しい社会と女性』(新評論、2000年)を引用しつつ、ヒロインの心理を掘り下げてみました。「料理」と「ジグソーパズル」を対比させながら、日常に浸透しているマチスモ(男性優位主義)を炙り出してみせる話術が巧みで、温かさとユーモアあふれる人間ドラマに監督の鋭い感性と視点が埋め込まれています。劇場で作品をご覧になったらぜひパンフもチェックしてみてください。
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