『オン・ザ・ロード』 映画.com レビュー & 劇場用パンフレット

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小説の主人公サルを通してケルアックの複雑な内面に迫る

8月30日(金)より公開になるウォルター・サレス監督の新作『オン・ザ・ロード』に関する告知です。原作はビート文学を代表するジャック・ケルアックの『路上/オン・ザ・ロード』です。

「映画.com」の8月27日更新の映画評枠に、“父親とフロンティアの喪失によってもたらされた作家ケルアックの覚醒の瞬間” というタイトルのレビューを、さらに劇場用パンフレットに “「彼」の内面が浮き彫りにされた、映画『オン・ザ・ロード』の世界” というタイトルのレビューを書いています。

映画.comのレビューは、フランス語を母語として育ったケルアックとポルトガル語を母語とするサレス監督を意識した内容になっています。先に本ブログの『オン・ザ・ロード』試写室日記をお読みになると、よりわかりやすいかと思います。


劇場用パンフレットのレビューではまず、物語が始まる1947年から50年代初頭にかけてのアメリカ社会の状況、それから50年代のビートニクとビートの影響を受けた60年代のヒッピーとの違いなどを明確にしています。

それから映画の独自の表現に注目しています。映画では、マルセル・プルーストの「スワン家の方へ」(長大な『失われた時を求めて』の第一篇にあたる)が強調されています。

ケルアックは『オン・ザ・ロード』の執筆当時、書簡のなかで「ありとあらゆる最高のスタイルを集めることだ」と書いて、ジョイスやセリーヌ、ドストエフスキーとともにプルーストの名前を挙げているので、プルーストの作品が出てきても不思議はないのですが、この映画では、物語の流れに関係しているとしか思えないほどに強調されています。そんなサレス監督独自の表現の意味も探っています。

それでは、「映画.com」の『オン・ザ・ロード』レビューをお読みください。劇場で作品をご覧になられたら、ぜひパンフレットもお読みください。