今週末公開オススメ映画リスト2011/10/27
- 2011年10月27日
- Soundtracks/Other, 映画, 本, 週刊オススメ映画リスト, 音楽
- アメリカ, イタリア, ジェニファー・ローレンス, ジェームズ・ライゼン, ダグ・リーマン, デブラ・グラニック, バンジョー, マッテオ・ガッローネ, ロベルト・サヴィアーノ, 女性, 女性監督, 実話, 家族, 山, 戦争, 自然, 9・11以後
今回は『フェア・ゲーム』、『ウィンターズ・ボーン』、『ゴモラ』の3本です。
『フェア・ゲーム』 ダグ・リーマン
イラク戦争に前後する時期には、アメリカ政府やCIAのなかで信じがたいことがいろいろと起こっていた。フセイン政権は開戦前に裏ルートを通じて大量破壊兵器を保有していないことをアメリカに伝えようとしたが、アメリカはバグダードで会おうと、これを突っぱねた。
どうしても戦争がしたいアメリカが飛びついたのは、国外追放処分を受けたイラク人で、“カーブボール”という暗号名を持つ人物の極めて信憑性が薄い大量破壊兵器の情報だった。
バグダード陥落後、故郷で米軍に拘束された大統領補佐官アル・ティクリティは、イラクに大量破壊兵器などなく、とうの昔にすべて破棄されたと告げたが、兵器を探し出すというブッシュ政権の目標が変わることはなかった。
実はCIAは、このアル・ティクリティが告げた事実を開戦前につかんでいた。ところが、政府やCIAの上層部から圧力がかかる。『フェア・ゲーム』では、そこから起こった事件が描き出される。
この映画、アメリカではいまひとつ盛り上がらなかったみたいだが、それはこの事件そのものが大きな注目を集め、よく知られていたからではないかと思う。日本ではそれほど知られていないので、スリリングでもあり、見応えがあるはず。
ただいま発売中の「CDジャーナル」2011年11月号にレビューを書いていますので、ぜひ読んでください。ちなみに予習していくならジェームズ・ライゼンの『戦争大統領――CIAとブッシュ政権の秘密』がオススメ。
主演は、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの『21g』やニルス・ミュラーの『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』でも共演しているナオミ・ワッツとショーン・ペン。筆者はどちらのファンでもあるので堪能した。
『ウィンターズ・ボーン』 デブラ・グラニック
月刊「宝島」2011年11月号にレビューを書き、このブログでも『ウィンターズ・ボーン』のすすめを書いたが、ダメ押しで映画のサントラとDickon Hichliffeによるオリジナル・スコアと、さらにサントラの核になっているブラックベリー・ウィンターのニューアルバム『In These Ozark Hills』も取り上げておく。
バンジョーの響きに心が動いたら、このブログで取り上げたHurray for the Riff RaffやArboreaにもトライしてください。
『ゴモラ』 マッテオ・ガッローネ
「CDジャーナル」2011年10月号にレビューを書き、このブログでも『ゴモラ』のすすめ+ロベルト・サヴィアーノを書いたが、ダメ押しでサヴィアーノの著書の英訳本『Beauty and the Inferno』を取り上げておきたい。といっても、これから読みたいと思っているところなのだが…。
サヴィアーノの題材はカモッラだけではない。このエッセイ集では、ミリアム・マケバ、サルマン・ルシュディ、フランク・ミラー、マイケル・ハーなど、多彩な人物を取り上げている。カモッラに狙われるようになってからの生活についても触れ、暗殺されたロシア人ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤを讃えて、締めくくっているらしい。
そういえば↓こちらでも最後の方でポリトコフスカヤに言及していたような気がする(イタリア語)。
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