『テザ 慟哭の大地』試写

試写室日記

本日は試写を1本。

『テザ 慟哭の大地』 ハイレ・ゲリマ

エチオピア出身でアメリカ在住のハイレ・ゲリマ監督が、祖国の歴史やディアスポラ体験を、現実と記憶や悪夢を自在に交錯させながら描いた力作。

作品そのものについてはまたあらためて書くつもりだが、伝統的な音楽にエレクトロニックな要素を取り入れたり、60~70年代のジャズを意識したスタイルを盛り込んだりと、誰が音楽を手掛けているのか興味をおぼえつつエンド・クレジットを見ていたら、いまをときめくジャズ・ピアニストのヴィジェイ・アイヤーとJorga Mesfin(“ethio jazz”を掲げるバンドWudasseに参加していたサックス奏者で、“The Kind Ones: Degagochu”というアルバムを出している)だった。

作品とともにアイヤーとMesfinの音楽も評価されているようで、カルタゴやドバイの映画祭では音楽賞を受賞している。

ゲリマ監督とアイヤーがどんなきっかけで出会ったのかは定かではないが、年齢の違いはあっても彼らには共鳴するものがあったはずだ。ゲリマ監督はディアスポラであり、ディアスポラというテーマを掘り下げている。アイヤーの両親は南インドからの移民で、彼はニューヨークのロチェスターで生まれ育った。

さらに『テザ 慟哭の大地』は2008年の作品で、アイヤーはその翌年の2009年に、ディアスポラや60~70年代のジャズ、歴史的真実性を意識した力作『Historicity』をリリースしている。そんなつながりを踏まえてみると、この映画の音楽がより印象深いものになる。

●iTune Store(Japan)へ
Historicity (Bonus Track Edition)

●amazon.co.jpへ