マイケル・ウィンターボトム監督に取材
新作『トリシュナ』に埋め込まれたサブテーマが見えてきた
新作『トリシュナ』がTIFFコンペ作品になっているマイケル・ウィンターボトム監督にインタビューしてきた。彼にインタビューするのは3度目。最初は『バタフライ・キス』で来日したとき、2度目は『いつまでも二人で』で、このときは電話インタビューだった。いずれにしても10年以上経過している。
ウィンターボトムは早口で、集中してくるとさらに早くなる。コメントの密度も濃いので、その場では把握できなかったことがあとでよみがえり、なるほどと思うことがある。今回もそういうことがあった。
彼は、ある質問に答えたあとで、付け足すように「ツーリズム」や「ポストコロニアリズム」について語り出した。その時点では補足のコメントと受け止めていたのだが、帰りの電車のなかでその部分がよみがえり、それが意味することが理解できた気がした。
ウィンターボトムはかつてミシェル・ウエルベックの『プラットフォーム』の映画化を切望していた。そして、それが叶わず、代わりに作ったのが『9 Songs』だった。そこで、『プラットフォーム』と『トリシュナ』を重ねてみると、たとえば映画の原作ということになっているハーディの『テス』に出てくるアレックとクレアが、ジェイというひとりの人物にまとめられている理由もわかってくる。
『トリシュナ』は、『テス』の映画化ということになっているが、実はウエルベックの『プラットフォーム』にかなりインスパイアされている。実に巧みに『プラットフォーム』を映画化してみせたといっても過言ではない。いずれそういう原稿を書くことにしたい。
TIFF公式サイトにインタビューがアップされたらまたお知らせします。
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