『Miles Espanol: New Sketches of Spain』 & 『Black Dahlia』 by Bob Belden
- 2011年10月24日
- International, Jazz, アルバム日記, 音楽
- アメリカ, インド, サウンドスケープ, ジェイムズ・エルロイ, スペイン, ブラック・ダリア, ボブ・ベルデン, マイルス・デイヴィス, 死, 痛み
ボブ・ベルデンはどこに向かおうとしているのか
才人プロデューサー/作曲家/アレンジャー/トランペッターのボブ・ベルデンによるマイルス・トリビュート・シリーズといえばよいか。前作の『Miles From India』は、マイルスの『On the Corner』という着眼点は面白かったが、マイルスゆかりのミュージシャンとインドのミュージシャンのコラボレーションについては無理をしている感じがした。
『Miles Espanol』は、マイルスとギル・エヴァンスの『Sketches of Spain』という着眼点、そしてマイルスゆかりのミュージシャンとスペイン人のミュージシャンのコラボレーションがぴたりとはまっている。ラテン・ジャズのクリシェに陥っていない。かっこよくて深い。
でも、こういう作品が評価されて、ボブ・ベルデンがキップ・ハンラハンのようなポジションで定着していくのはどうかと思う。個人的にはやはり、『ブラック・ダリア』のような作品をもっと作ってほしい。
ベルデンの『ブラック・ダリア』はもちろん、40年代のロサンジェルスで無残な死体となって発見されたエリザベス・ショートの実話を題材にしている。ジェイムズ・エルロイの小説『ブラック・ダリア』にもインスパイアされているが、ベルデンのテーマは「死」である。
本人がかつてこのように発言してもいる。“I put all of the feeling of a slow, agonizing death into Black Dahlia, the despair and loneliness and uncertainty of life itself.”
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