『ある画家の数奇な運命』|ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」記事
- ゲルハルト・リヒター, ザスキア・ローゼンダール, セバスチャン・コッホ, トム・シリング, ドイツ, ナチズム, フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク, 実話, 戦争, 映画監督, 東ドイツ, 死, 現代美術, 西ドイツ
現代美術の巨匠リヒターの人生とドイツ戦後史に新たな光をあてる『ある画家の数奇な運命』
ニューズウィーク日本版のコラム「映画の境界線」の2020年10月1日更新記事で、『善き人のためのソナタ』のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督の新作『ある画家の数奇な運命』(18)を取り上げました。
ドナースマルク監督が巨匠ゲルハルト・リヒターの人生と作品にインスパイアされてつくりあげた3時間を超える長編です。ドナースマルクがリヒターの人生に興味を持つきっかけは、彼の妻の父親が、ナチスの親衛隊で安楽死政策の加害者だったと知ったこと。リヒターの叔母はその安楽死政策によってナチスに殺害されました。リヒターに企画を持ちかけたドナースマルクは、「人物の名前は変えて、映画のためだけにオリジナルに制作された絵画を使い、内容は必要に応じて自由とするが、映画の中で何が真実かを絶対に明かさない」という条件で、映画化を許されました。
本作では、ナチス政権下のドイツ、戦後の東ドイツ、60年代の西ドイツを背景として、主人公クルト、叔母のエリザベト、クルトの義父となるゼーバントの3者を軸に物語が展開していきます。記事では、そんな物語と、リヒターが65年にフォト・ペインティングの作品として発表した<マリアンネ叔母さん>と<ハイデ氏>との繋がりに注目しています。その繋がりを踏まえると、ドナースマルクが、いかにその2作品にこだわり、リヒターの過去の重要な部分を独自の視点で掘り下げ、緻密な構成ですべてを絵画に集約しているのかが見えてくるのではないかと思います。
コラムをお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。
● 現代美術の巨匠リヒターの人生とドイツ戦後史に新たな光をあてる『ある画家の数奇な運命』
2020年10月2日(金)TOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー