『人生はビギナーズ』試写
本日は試写を1本。
『人生はビギナーズ』 マイク・ミルズ
マイク・ミルズの新作。彼のプライベートストーリーの映画化だが、これはほんとに素晴らしい。というより凄い。心を揺さぶられるだけではなく、サバービアや歴史に対する視点など実に奥が深い。
マイク・ミルズの父親は、45年連れ添った妻に先立たれたあと、75歳にして「同性愛者として残りの人生を楽しみたいんだ」とカミングアウトし、その言葉通りに人生を愉しみ、告白から5年後に他界したという。
本日は試写を1本。
マイク・ミルズの新作。彼のプライベートストーリーの映画化だが、これはほんとに素晴らしい。というより凄い。心を揺さぶられるだけではなく、サバービアや歴史に対する視点など実に奥が深い。
マイク・ミルズの父親は、45年連れ添った妻に先立たれたあと、75歳にして「同性愛者として残りの人生を楽しみたいんだ」とカミングアウトし、その言葉通りに人生を愉しみ、告白から5年後に他界したという。
『キッチン・ストーリー』や『酔いどれ詩人になるまえに』のベント・ハーメル監督の新作は、ノルウェーの人気作家レヴィ・ヘンリクセンの短編集の映画化だ。『クリスマスのその夜に』では、クリスマス・イヴを迎えたノルウェーの田舎町を舞台に、複数の登場人物の複数の物語が交差しながら展開していく。
結婚生活が破綻し、妻に家を追い出されたパウルは、サンタクロースに変装して、妻と新しい恋人と子供たちがイヴを過ごすかつての我が家に忍び込み、なんとか子供たちにプレゼントを渡そうとする。
なぜか一人で町をうろつく少年トマスは、上級生の少女ビントゥに声をかけられる。イスラム教徒だからクリスマスを祝わないというビントゥに、トマスも「うちもサンタを信じていない」と小さな嘘をつき、彼女の家に立ち寄ることになる。
今回は『フェア・ゲーム』、『ウィンターズ・ボーン』、『ゴモラ』の3本です。
イラク戦争に前後する時期には、アメリカ政府やCIAのなかで信じがたいことがいろいろと起こっていた。フセイン政権は開戦前に裏ルートを通じて大量破壊兵器を保有していないことをアメリカに伝えようとしたが、アメリカはバグダードで会おうと、これを突っぱねた。
どうしても戦争がしたいアメリカが飛びついたのは、国外追放処分を受けたイラク人で、“カーブボール”という暗号名を持つ人物の極めて信憑性が薄い大量破壊兵器の情報だった。
バグダード陥落後、故郷で米軍に拘束された大統領補佐官アル・ティクリティは、イラクに大量破壊兵器などなく、とうの昔にすべて破棄されたと告げたが、兵器を探し出すというブッシュ政権の目標が変わることはなかった。
実はCIAは、このアル・ティクリティが告げた事実を開戦前につかんでいた。ところが、政府やCIAの上層部から圧力がかかる。『フェア・ゲーム』では、そこから起こった事件が描き出される。
22日から始まるTIFF(東京国際映画祭)の上映作品を3本。
『このすばらしきせかい』や『南極料理人』の沖田監督作品。役所広司と小栗旬のやりとりがあまりに可笑しくて、観ているあいだに何度吹き出してしまったことか。引き延ばしたり、スパッと切るドラマの間やタイミングも絶妙で。
『南極料理人』は原作があったので、設定や人物の関係がいくぶん整いすぎているところがあったが、この新作は『このすばらしきせかい』をシュールに発展させた感じ。『このすばらしきせかい』の主人公の若者と叔父さんの関係が、駆け出しの映画監督と木こりの関係に引き継がれている。
沖田ワールドに欠かせない古舘寛治が今回は狂言回しのようなポジションを担い、『このすばらしきせかい』で古舘が占めていたポジションに役所広司が入っているのだが、これがまたはまっている。それにしても映画監督と木こりがこんなふうに結びついてしまうなんて、面白すぎる。
スサンネ・ビアの『ある愛の風景』や『アフター・ウェディング』では、デンマークの日常とアフガニスタンの紛争地帯やインドのスラムが結びつけられていた。新作の『未来を生きる君たちへ』でも、デンマークの田舎町に暮らし、アフリカの難民キャンプに派遣される医師アントンを通して、異なる世界が結びつけられる。だが、ふたつの世界の位置づけには大きな違いがある。
前者ではそんな構成が、豊かで安定した社会と貧しく混沌とした社会を象徴し、物語の前提となっていた。しかしこの新作では、最初からそんな図式が崩れている。