ファティ・アキン『ソウル・キッチン』レビュー



Review

ハンブルクにあるさえないレストランがアジールに変わるとき

トルコ系ドイツ人のファティ・アキンは、ベルリン国際映画祭グランプリを受賞した『愛より強く』やカンヌ国際映画祭脚本賞を獲得した『そして、私たちは愛に帰る』によって、世界的な注目を集める監督になった。その2作品では、トルコ系ドイツ人というバックグラウンドと結びつくテーマがシリアスに掘り下げられていたが、ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞・ヤングシネマ賞をW受賞した新作『ソウル・キッチン』には、様々な意味で2作品とは異なる方向性が見られる。

この映画は、ハンブルクにあるレストラン“ソウル・キッチン”を中心に展開していくコメディだ。店のオーナー兼シェフは、ギリシャ系のジノス(アダム・ボウスドブコス)。彼が倉庫を買い取り、自分で配管までした店のメニューは、誰でも料理できる冷凍食品ばかりであり、常連客はいるものの、繁盛しているとはいいがたい。

soul kitchen main

2011年1月22日(土)よりシネマライズほか全国順次ロードショー!

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ファティ・アキン・インタビュー



News

1月6日発売の「キネマ旬報」2011年1月下旬号に、トルコ系ドイツ人の監督ファティ・アキンのインタビューが掲載されています。

一度は会ってみたい監督のひとりだったが、予想以上に魅力的な人物だった。新作『ソウル・キッチン』のこと、ハンブルクの再開発のこと、ドイツの映画産業のこと、音楽のこと、彼に影響を与えたクルド人監督ユルマズ・ギュネイのこと、なにを尋ねても、彼のコメントには反骨精神が滲み出してくる。しかも、決して突っ張っているわけではなく、当たり前のことのようにごく自然に。そういうところは、アレックス・コックスに通じるものがある。