『ハンター』 映画.com レビュー&劇場用パンフレット

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ウィレム・デフォー主演のオーストラリア映画、2月4日公開!

ダニエル・ネットハイム監督の『ハンター』はあなどれない。最近はなんでも説明してしまうテレビドラマのような作品が少なくないが、この映画はそういう要素をいさぎよく削ぎ落としていく。さらに、モノローグやフラッシュバックを使いたくなるようなところでもまったくそれをやらない。徹底していて気持ちがいい。

だからこちらが想像力を働かせる余地がたっぷり残されている。最後のタスマニアタイガーや自然、あるいは死者と主人公の関係を描くこの映画には、そういう言葉や説明に頼らない表現がふさわしい。

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『おとなのけんか』 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『おとなのけんか』 ロマン・ポランスキー

フランスの劇作家ヤスミナ・レザの戯曲「God of Carnage」(日本上演タイトル「大人は、かく戦えり」)の映画化。息子同士の喧嘩に始末をつけるためにアパートの一室に集まった二組の夫婦。なごやかな雰囲気のなかで和解にいたると思いきや、ささいな出来事がきっかけで次々と本音が飛び出し、壮絶な舌戦へと発展していく。

ニューヨークのブルックリンを舞台にしているということだけで、そこにポランスキーが含みを持たせているように思えて、にんまりさせられる。

ポランスキーは30年前の淫行事件があるためアメリカに入国できない。だから舞台がアメリカに設定されていてもアメリカでは撮っていない、というのは前作の『ゴーストライター』も同じだが、今回の題材はちょっと事情が違う。

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『アリラン』 『SHAME―シェイム―』 試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『アリラン』 キム・ギドク

キム・ギドクはなぜ『悲夢』以後、沈黙してしまったのか。その理由はこの『アリラン』で明らかになる。『悲夢』の撮影中に女優が危うく命を落としかける事故が発生した。その事故で衝撃を受けたことをきっかけに、国際的な名声と国内での低い評価のギャップ、彼のもとを去った映画仲間の裏切りなどが重くのしかかり、作品が撮れなくなった。この映画では、そんなギドクが徹底的に自分(第二のギドク、第三のギドク)と向き合う。

ギドクは大好きな監督であり、これまで観た作品のなかでいいと思えなかったのは『悲夢』だけだが、この『アリラン』はしんどかった。ギドクのすごさは、言葉に頼ることなく、外部と内部、見えるものと見えないもの、向こうとこちらといった境界や象徴的な表現を駆使して、独自の空間を構築し、贖罪や浄化、喪失の痛みや解放などを描き出してきたところにある。

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『麒麟の翼』 『ドラゴン・タトゥーの女』 試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『麒麟の翼』 土井裕泰

東野圭吾の加賀恭一郎シリーズの最新作の映画化。作品になにを期待しているかで満足度が変わってくると思う。土井監督ということでとにかく「泣ける映画」を観たいという人はおそらく満足できるだろう。

筆者の場合は原作は未読で、原作にそれほど興味もなく、テレビの「新参者」の加賀のキャラクターがちょっと面白いと思った口で、要はストーリーではなくキャラクターに期待をしていたのだが、そそられる加賀にはなっていなかった。

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『スター・ウォーズ』神話の根底にあるものとは?

トピックス

フォースの暗黒面やダース・ベイダーに象徴される悪の位置づけ

神話学者ジョゼフ・キャンベルが世界各地の英雄伝説に共通する基本構造を抽出してみせた『千の顔をもつ英雄』。ジョージ・ルーカスがこのキャンベルの代表作からインスピレーションを得て『スター・ウォーズ』の世界を創造したことはよく知られている。また、デール・ポロックのルーカス伝『スカイウォーキング』によれば、カルロス・カスタネダの『未知の次元』も大きな影響を及ぼしているという。

『スター・ウォーズ』シリーズとキャンベルやカスタネダの著書には深い結びつきがあるが、それらを照合してもルーカスの世界が見えてくるわけではない。『スター・ウォーズ』という神話の特徴は、イニシエーションやシャーマニズムよりも、フォースの暗黒面やダース・ベイダーに象徴される悪の位置づけにある。

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