『家族の庭』 『サルトルとボーヴォワール 哲学と愛』試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『家族の庭』 マイク・リー

マイク・リーの作品は観ていることは観ているがあまり好きになれなかった。観ているうちに演劇と映画と一体どちらが大切なのだろうかという疑問がもたげてくる。彼の映画には、演劇が映画の上位にくる瞬間がある。だから「映画」に集中できないのだ。

『ヴェラ・ドレイク』もとてもしんどかったので、気が重かったのだが、この新作ははじめて心から酔うことができた。役者が素晴らしいことは最初からわかっているが、芝居でごりごり押してこない。空間のとらえ方とかカメラの動きに「映画」が感じられる。

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『スリーデイズ』 劇場用パンフレット



News

ラッセル・クロウ主演、ポール・ハギス監督最新作!

フランス映画『すべて彼女のために』(ビデオ・タイトル:ラスト3デイズ~すべて彼女のために)をポール・ハギスがリメイクした『スリーデイズ』が本日(9月23日)より公開になります。サスペンス・アクションといわれるような題材でも、ハギスは独自の視点を埋め込み、個人と時代や社会の関係を浮き彫りにしています。

この映画の劇場用パンフレットで、「代償は高くても自由を求める意味を考える」というタイトルのコラムを書いています。『ミリオンダラー・ベイビー』『クラッシュ』『告発のとき』などとの繋がりにも言及したポール・ハギス論になっています。劇場で作品をご覧になったらぜひチェックしてみてください。

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『Collage d’intentions part one & two』 『White Midsummer Forest』 by eeem

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鳥の声に導かれてフィンランドの音の森を散策する

筆者が住んでいるビルの隣にたっている古い建物、その壁面にあいた穴に名前も知らない鳥が巣をつくり、毎日、朝から賑やかな鳴き声が聞こえる。

そのせいかどうかわからないが、最近は、自然の音のなかでも特に鳥の声に敏感になっているような気がする。

時間があるときには、世界各地の鳥の声をレクチャーしてくれるaudiobookを聴いたりもする。↓たとえばこれは、イギリスの森林地帯に住む鳥たちのガイド。他にもいろいろあるので、いずれ取り上げるかもしれない。

『A Guide to British Woodland Birds』

フィンランドのヘルシンキを拠点に活動するEeemの音楽は、ジャンルでいえばエレクトロニック・アンビエントということになるかと思うが、鳥の声を使ったサウンドスケープが印象に残る。

『Collage d'intentions part one』

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『Canto Negro』 by Henri Texier Nord-Sud Quintet

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南と北を結ぶクインテットはブラック・アトランティックを目指す

フランスを代表するのジャズ・ベーシストHenri Texierは、1945年パリ生まれなので、もう伝説といえるキャリアに満足してしまっても、あるいは精神的、肉体的に衰えてきてもおかしくないが、いまもこういうしっかりとしたヴィジョンを持ったアルバムを作っている。すごいことだと思う。

『Canto Negro』 (2011)

筆者が最初に連想したのが、Melvin Gibbs Elevated Entityの『Ancients Speak』(09)。TexierとGibbsでは、世代も環境も違うのでサウンドには大きな違いがあるが、ヴィジョンは同じだと思う。

『Ancients Speak』 (2009)

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フランソワ・オゾン 『しあわせの雨傘』 レビュー



Review

女性の内なる欲望や抑圧を描き続けるフランソワ・オゾンの妙技

フランソワ・オゾンの作品では女優が特別な輝きを放っている。この監督は女優から豊かな個性を引き出してみせるが、そのことと彼が追求しつづけるテーマには深い結びつきがある。彼は女性の内に潜む欲望や抑圧や葛藤を、独自の視点で描き出そうとする。オゾン作品に登場するヒロインたちは、しばしば予期せぬ出来事に見舞われ、混乱する状況に対処することを余儀なくされる。

『まぼろし』(01)では、長年連れ添った夫が浜辺から忽然と姿を消してしまう。残された妻の心は、夫と過ごす日常という幻想と耐えがたい現実の狭間で揺れていく。アガサ・クリスティの世界とミュージカルを組み合わせたような『8人の女たち』(02)では、雪に閉ざされた屋敷で主人が何者かに殺害され、女ばかりの家族やメイドの秘密が次々に暴き出されていく。

『スイミング・プール』(03)では、愛人でもある出版社社長の別荘で過ごす女性作家の前に、編集者の娘と称する謎の少女が現われる。この女性作家は、現実と幻想が入り交じる世界のなかで、愛人との半端な関係を清算し、スランプを克服して新たな境地を切り拓いていく。

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