ゲラ・バブルアニ 『ロシアン・ルーレット』 レビュー
アウトサイダー的俳優陣が放つ存在感
ロシアン・ルーレットが描かれた作品として多くの人が真っ先に思い出すのは、おそらくベトナム戦争を題材にしたマイケル・チミノ監督の『ディア・ハンター』だろう。この映画では、反政府組織の捕虜になった主人公たちがロシアン・ルーレットを強要される。そして彼らのひとり、ニックは精神を病み、この死のゲームにとり憑かれていく。
他にも、たとえば北野武監督の『ソナチネ』(93)では、沖縄の抗争に巻き込まれ、浜辺の廃屋に身を隠している主人公のヤクザが、舎弟とロシアン・ルーレットをはじめる(舎弟は青ざめるが、後で弾が入ってなかったことがわかる)。
エミール・クストリッツァ監督の『アリゾナ・ドリーム』(92)では、自殺願望を持つ娘グレースが、主人公アクセルにロシアン・ルーレットを持ちかける。ダニー・ボイル監督の『ザ・ビーチ』(99)では、タイの孤島にある秘密の楽園のリーダーが、他人に情報を漏らした主人公リチャードに、1発だけ弾を込めた銃を向ける。