マット・リーヴス 『モールス』 レビュー

Review

レーガン時代のアメリカが少年少女の孤独を際立たせる

『モールス』は、トーマス・アルフレッドソン監督のスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』(08)のリメイクだ。オリジナルとの大きな違いは、舞台がストックホルム郊外の田舎町からニューメキシコ州のロスアラモスの田舎町に変わったことだけではない。導入部にレーガン大統領の演説が挿入される『モールス』では、レーガン時代のアメリカが物語に独特の陰影を生み出していく。

レーガンはソ連を「悪の帝国(evil empire)」と呼び、善と悪の対立の図式を強調した。善はこちら側にあり、悪は向こう側にある。雪に閉ざされた田舎町をアメリカの縮図と見るなら、アビーという少女は向こう側からそこにやって来ることになる。

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