アク・ロウヒミエス 『4月の涙』 レビュー

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フィンランドの悲劇の歴史を環境哲学の視点から読み直す

現在のフィンランド映画界を代表する監督といわれるアク・ロウヒミエス。『4月の涙』(09)の題材になっているのは、同じ国民が敵味方となって戦ったフィンランド内戦だ。内戦末期の1918年、白衛隊の准士官アーロと捕虜となった赤衛隊の女性兵ミーナが出会い、二人の間で愛と信念がせめぎ合う。

そんな設定から筆者はありがちな男女の悲劇を想像していたのだが、実際に作品を観たらまったく違っていて正直驚いた。この映画では、内戦の物語が、「人間中心主義」と人間の位置を自然のなかに据える「環境哲学」という現代的な視点から読み直されている。

白衛隊に捕えられた女性兵たちは、乱暴され、逃亡兵として処刑されていく。アーロは、そんな指令を無視した処刑に抗議し、かろうじて生き延びたミーナを公正な裁判にかけるため、作家で人文主義者のエーミル判事がいる裁判所に護送しようとする。

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今週末公開オススメ映画リスト2011/05/05

週刊オススメ映画リスト

今回は『4月の涙』と『昼間から呑む』の2本です。

『4月の涙』 アク・ロウヒミエス

クラウス・ハロ監督の『ヤコブへの手紙』といい、アク・ロウヒミエス監督のこの『4月の涙』といい、フィンランド映画は侮れない。「同じ国民が敵味方に分かれて戦ったフィンランド内戦」とか「敵同士の准士官と女性兵士の許されざる愛」といった表現から想像されるドラマとは異なる次元から歴史が読み直されている。月刊「宝島」2011年6月号の連載コラム「試写室の咳払い」でこの作品を取り上げています。

『4月の涙』 5月7日(土)より、シネマート新宿、銀座シネパトスほか全国順次公開

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アレハンドロ・アメナーバル 『アレクサンドリア』レビュー

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4世紀の女性天文学者の悲劇は、“人間中心主義”から脱却できない私たちの悲劇でもある

実話に基づくアレハンドロ・アメナーバルの新作『アレクサンドリア』の舞台は、栄華を極めたローマ帝国が崩壊しつつある4世紀末のエジプト、アレクサンドリア。

ヒロインは、世界の文化と学問の中心であるこの都市を象徴するような存在だ。美しく聡明な女性天文学者ヒュパティアは、探究心と理想に燃えて生徒たちを教育していた。だが、この都市にも混乱の波が押し寄せてくる。

台頭するキリスト教と異教のあいだの対立がエスカレートしていく。異教徒に対する弾圧、支配を進めるキリスト教指導者の鉾先はやがて、かつての教え子に影響力を持つヒュパティアに向けられるようになる。

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