アントニオ・チャバリアス 『フリア よみがえり少女』 レビュー
喪失感が罪悪感につながり、喪失感が罪悪感をよみがえらせる
38歳のダニエルと34歳のラウラの夫婦は、ともに同じ小学校に勤める教師で、子宝に恵まれないことに悩んでいる。そんなある日、マリオという男が学校にダニエルを訪ねてくる。彼はダニエルが子供の頃に親しかった友人だが、その後は疎遠になっていた。なにかに怯えるマリオは自分の娘のフリアに会ってほしいと懇願するが、意味がわからないダニエルは病院に行くことを勧め、突き放してしまう。
それから間もなく夫婦は、マリオが自殺したことを知る。マリオの葬儀に参列した彼らは、故人の娘フリアが養護施設に入れられていることを知り、一時的に預かることにする。だが、以前からダニエルを知っているかのようなフリアの発言や態度が、彼にある少女のことを思い出させ、精神的に追い詰めていく。
ダニエルが封印した忌まわしい過去は、そんなドラマと並行してフラッシュバックによって徐々に明らかにされていく。その夏、ダニエル少年は、父親が再婚を考えていたルイサと彼女のふたりの子供マリオとクララと一緒に過ごすことになる。だが数日後、ダニエルやマリオと一緒だったはずのクララが、墓地で遺体となって発見され、再婚は白紙となった。