「BRUTUS」のスター・ウォーズ特集

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スター・ウォーズのBlu-rayを体験した人も未体験の人も、ぜひ

1日(土)発売の「BRUTUS」10/15号のスター・ウォーズ特集でコラムを書いております。テーマは“『スター・ウォーズ』と神話”。このテーマで真っ先に思い浮かぶものといえば、神話学者ジョゼフ・キャンベルの『千の顔をもつ英雄』でしょう。キャンベルとビル・モイヤーズの対談を収めた『神話の力』(飛田茂雄訳/早川書房/1992年)にはこのように書かれています。

「ルーカスがキャンベルの著作から恩恵をこうむったことを明らかにしたうえで、<スター・ウォーズ>三部作を見に来てほしいとキャンベルを招待してから、二人は親友になっていた」

「BRUTUS」2011 10/15号

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アピチャッポン・ウィーラセタクン 『ブンミおじさんの森』 レビュー

Review

私たちはブンミによって現世と他界の境界に導かれる

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の『ブンミおじさんの森』には、常識では計り知れない出来事が起こる。だが、それを単純にファンタジーと表現してしまうと、何か大切なものが抜け落ちてしまうように感じる。

死期を悟ったブンミは、森の奥へと分け入り、洞窟の深い闇のなかで、自分がそこで生まれたことを思い出す。「生きているうちは思い出せなかったが」と語る彼は、すでに死者の側から世界を感知している。私たちはブンミによって現世と他界の境界に導かれている。そこで思い出されるのは「山中他界観」だ。

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『Natsukashii』 by Helge Lien Trio

Listning

この北欧のジャズ・ピアニストの世界のとらえかたは独特では?

日本とアメリカでは、ノルウェーのジャズ・ピアニスト、ヘルゲ・リエン(Helge Lien)の認知度に大きな隔たりがある。日本では初期のアルバムから注目され、プロデュースにも乗り出すというように以前から認知されていたが、アメリカでは、前作『Hello Troll』(2008)が、all about jazz.comのレビューで、ほとんどのアメリカ人が知らないピアニストのアルバムとして紹介されていた。

今年リリースされたヘルゲ・リエン・トリオの新作は、アルバム・タイトルがそんな隔たりを象徴していると見ることもできる。“Natsukashii(懐かしい)”という日本語がタイトルになっているのだ。そのタイトル・ナンバーは、音の間といいメロディといい、私たちが馴染めるような楽曲になっている。

『Natsukashii』 (2011)

ただし、“Natsukashii”という言葉が、ごく普通に「懐かしい」を意味しているとは限らない。リエンの音楽については、スタイルやテクニックとは異なる部分で、世界のとらえかたに、どことなく個を超えているところがあるように思える。

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『朱花の月』 『大鹿村騒動記』 『一枚のハガキ』試写



試写室日記

本日は邦画の試写を3本。

『朱花の月』 河瀨直美

『殯の森』(07)、『七夜待』(08)、『玄牝-げんぴん-』(10)の河瀨直美監督の新作。タイトルの「朱花」は「はねづ」と読む。万葉集に登場する朱色の花だという。

畝傍山、香具山、耳成山からなる“大和三山”が出てくるというだけで個人的に興味をそそられていたが、91分のなかに多様な要素が盛り込まれていることもあり、映画を観た時点では全体像がはっきりしていなかった。

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『マイティ・ソー』試写



試写室日記

本日は試写を1本。

『マイティ・ソー』 ケネス・ブラナー

ケネス・ブラナーを監督に起用したのは、北欧神話がモチーフになっていて、神話的な物語の部分をそれなりに正統的に、重厚に演出したかったからなのだろうが、その選択は裏目に出ているように見える。

いくら神話をモチーフにしているとはいっても、根本的に設定や人物がかなりとっちらかっていて、背景を描きこんだり、人物に肉付けをするような余地がない。『スターウォーズ』のようにはまとまらない。

であるなら、いっそのことスピードやノリやエッジで見せる監督を選ぶべきだろう。あるいは、ティムール・ベクマンベトフとかなら、神話的な要素を生かせたかも。