クリス・マロイ 『180° SOUTH/ワンエイティ・サウス』レビュー
- アメリカ, イヴォン・シュイナード, クリス・マロイ, ジェフ・ジョンソン, ジャレド・ダイアモンド, ダグ・トンプキンス, チリ, トーマス・フリードマン, ドキュメンタリー, レイチェル・カーソン, レビュー, 山, 環境問題, 自然, 風景
1968年から2008年の間に自然と人間の関係はどう変化したか
クリス・マロイ監督のドキュメンタリー『180°SOUTH/ワンエイティ・サウス』は、「patagonia」と「THE NORTH FACE」という世界的なアウトドア・ブランドの創業者であるイヴォン・シュイナードとダグ・トンプキンスがかつて成し遂げた伝説の旅のエピソードから始まる。
60年代初頭から機能性に優れた登山用具を製造していたイヴォンは、1968年のある日、友人のダグからパタゴニアの山に登る旅に誘われた。彼らは、サーフボードや登山用具、旅を記録するための16ミリカメラなどをバンに積み込み、未舗装のパンアメリカン・ハイウェイを南下した。そして、パタゴニアの大自然、未開の地を踏破した経験は、彼らの人生に大きな影響を及ぼすことになった。
そんなプロローグに続いて、この映画の主人公であるジェフ・ジョンソンが登場する。8歳でロッククライミングとサーフィンに魅了され、アウトドアを生き甲斐にする彼は、10年前に伝説の旅の記録映像を見て衝撃を受け、それを追体験する機会をうかがっていた。そして伝説の旅から40年後、彼はメキシコからパタゴニアに向かうヨットにクルーとして乗り込む。
『津軽百年食堂』『コリン LOVE OF THE DEAD』試写
試写を2本観た。
『津軽百年食堂』 大森一樹
弘前から見える岩木山がたまらない。筆者が登りたい山の上位にランクしている。というように書くと映画と関係がないことのようだが、大森監督の『わが心の銀河鉄道~宮沢賢治物語』に岩手山があったように、この映画に岩木山があると考えるべきだろう。
『コリン LOVE OF THE DEAD』 マーク・プライス
試写室で隣の席に荷物を置いていたのは中山治美さんだった。上映が始まるまで、キアロスタミやパナヒなどイラン人の監督のことをいろいろ話していた。
制作費わずか45ポンドで作られたというゾンビ映画。ホラーとして見せようとしている感じはしないし、ゾンビと化した若者のわずかに残る記憶や意識を描きつつも、ありきたりなドラマにはなってしまわない。細部にこだわったカメラワークや編集、そしてなによりもゾンビの生態を観察しているかのような距離が異質な空気を醸し出している。