『coast range arc』 by Loscil

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カナダの険しい山々にインスパイアされたサウンドスケープ

Loscilは、カナダ出身のエレクトロニック・アンビエントの作曲家Scott Morganのプロジェクトだ。彼はすでに5枚を超える作品を発表しているが、この新作『coast range arc』は、ジャケットアートを見ただけでもテーマが異なることがわかる。

これまでの作品はKrankyからのリリースだったが、新作はGlacial Movements。このイタリアのレーベルは、ジャケットアートも統一され、かなり明確なテーマやカラーを持っている。人類が忘れ去ってしまった場所としての氷の世界を呼び覚まし、独自のサウンドスケープを切り拓こうとするアンビエント・レーベルとでもいえばよいか。

『coast range arc』 (2011)

loscil – coast range arc (album preview) by experimedia

ひと口に氷の世界といっても、ミュージシャンによって様々なアプローチがあるが、Loscilの場合には、具体的なものや場所からインスピレーションを得る傾向が強い。新作も例外ではない。

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『There He Unforeseen』 by Hallock Hill

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陽光が差し込む板壁の向こうとこちらにはどんな世界が広がっているのか

Hallock HillことTom Leckyの『The Union』については、以前にアルバム日記で取り上げたが、早くも新しいアルバム『There He Unforeseen』が登場した。『The Union』のジャケット・アートは、巨大なシャンプレーン湖にたつ波のイメージだったが、こちらは自然そのものではなく、小屋の板壁の隙間から陽光が差し込むイメージだ。そして中身も、楽器やスタイルなど異なる空間が広がっている。

there he unforeseen

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Official videoclip for Arborea “A Little Time”

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ふたつの<A Little Time>、美しい自然とポルトガルの路地裏

アメリカのなかでも広大な森林地帯を抱えるメイン州。Buck CurranとShanti Curranという夫婦のユニットArboreaの音楽の背景には、そんな豊かな自然がある、ということは前に書いた。

新作『Red Planet』の最後に収められた<A Little Time>のPVが2本アップされていた。1本目は、La Foret des Renardsが手がけたPV。2本目はポルトガルのbodyspace.netのために作られたPV。映像のコンセプトはまったく違うだけでなく、曲の音源も違うので、聞きくらべると面白い。

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シュエ・シャオルー 『海洋天堂』 レビュー



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海亀になることは、他者の世界を受け入れることでもある

『海洋天堂』は、チェン・カイコー監督の『北京ヴァイオリン』の脚本家として注目を集めたシュエ・シャオルーの監督デビュー作だ。この作品は、彼女が14年間つづけた自閉症支援施設でのボランティア活動が元になっているという。

主人公は、チンタオの水族館で設備技師として働くワン・シンチョン(ジェット・リー)と、21歳になったばかりの自閉症の息子ターフー(ウェン・ジャン)だ。シンチョンは、ターフーが7歳のときに妻を亡くし、それ以来ひとりで息子の面倒を見てきた。

そんなシンチョンは、自分が末期の肝臓がんで余命いくばくもないことを知る。息子の未来を案じた父親は、彼がひとりで生きていくための土台を築くために奔走するが…。

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『Live at Sint-Elisabethkerk』 by Balmorhea

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ベルギーの教会に広がるテキサスのサウンドスケープ

Balmorheaは、テキサス州オースティンを拠点に活動するインストゥルメンタル・アンサンブル。2006年にRob LoweとMichael Mullerによって結成された。ギター、バンジョー、ピアノなどを操るこのふたりに、ヴァイオリンのAisha Burns、チェロのDylan Rieck、ダブルベースのTravis Chapman、ドラムスのKendall Clarkが加わった6人組である。

筆者は固有の場所性が失われていく状況のなかで、現実に縛られない領域や次元にどのように場所性が見出され、サウンドスケープが生み出されるのかに関心を持っている。もちろん誰もがそれを意識して音楽を作っているわけではないが、Balmorheaの場合はかなり自覚的であるように思う。

たとえば、フィールド・レコーディングとインストゥルメンタルが高度に融合した2作目の『River Arms』では、スモールタウンで過ごした子供の頃の記憶や<The Summer>や<The Winter>というタイトルに表れている季節に対する感覚が場所性に結びついていた。

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