『朱花の月』 『大鹿村騒動記』 『一枚のハガキ』試写
本日は邦画の試写を3本。
『朱花の月』 河瀨直美
『殯の森』(07)、『七夜待』(08)、『玄牝-げんぴん-』(10)の河瀨直美監督の新作。タイトルの「朱花」は「はねづ」と読む。万葉集に登場する朱色の花だという。
畝傍山、香具山、耳成山からなる“大和三山”が出てくるというだけで個人的に興味をそそられていたが、91分のなかに多様な要素が盛り込まれていることもあり、映画を観た時点では全体像がはっきりしていなかった。
本日は邦画の試写を3本。
『殯の森』(07)、『七夜待』(08)、『玄牝-げんぴん-』(10)の河瀨直美監督の新作。タイトルの「朱花」は「はねづ」と読む。万葉集に登場する朱色の花だという。
畝傍山、香具山、耳成山からなる“大和三山”が出てくるというだけで個人的に興味をそそられていたが、91分のなかに多様な要素が盛り込まれていることもあり、映画を観た時点では全体像がはっきりしていなかった。
本日は試写を1本。
『アンナと過ごした4日間』で見事な復活を遂げたポーランドの巨匠スコリモフスキの新作。主演はヴィンセント・ギャロ。ヴェネチア国際映画祭で、審査員特別賞と主演男優賞を獲得している。
作品の構造は、ジャームッシュの『ダウン・バイ・ロウ』を想起させる。『ダウン・バイ・ロウ』では、一部のニューオーリンズから二部の刑務所、そして三部の脱獄後の空間へと、情報や記号が消し去られていき、主人公たちは時代も場所も定かではないどこでもない場所へと彷徨いだす。
スコリモフスキはそれを9・11以後の世界でやってしまう。アフガニスタンから始まり、捕虜として収容所に連行され、逃亡の先にはどこでもない場所が広がる。
ノルウェー出身のJana Winderenは、90年代前半から主にサウンド・インスタレーションの分野で活動しているサウンド・アーティスト、プロデューサー、キュレーター、ディレクターだ。
彼女は4年に渡ってグリーンランド、アイスランド、ノルウェー、バレンツ海を踏査し、氷河のクレバスの深部やフィヨルド、外洋でフィールド・レコーディングを行ってきた。Touchレーベルからリリースされたアルバム『Energy Field』は、その音源をもとに作られた作品で、<Aquaculture 17:51>、<Isolation / Measurement 11:41>、<Sense of Latent Power 20:19>の3曲が収められている。
そんなフィールド・レコーディングなかでも特に興味深いのが、ハイドロフォンを使って採取される海中の音だろう。彼女はできるだけ深い場所で音を採取しようと試み、最近ではケーブルの長さが90メートルにもなっているという。
カナダ出身で、ニューヨークを拠点に活動するチェリスト、ジュリア・ケント(Julia Kent)は、インディアナ大学でクラシックとチェロを学んだが、クラシックの音楽家になりたいと思っていたわけではなかった(ちなみに彼女の姉妹のジリアン・ケントは、クラシックのバイオリニストとして活躍している)。
そんな彼女は、学校を出てからしばらくジャーナリズムの世界で仕事をしたあと、3本のチェロを中心にしたオルタナティブなバンドRasputinaのオリジナル・メンバーになり、チェリストとしてのキャリアをスタートさせる。そして、90年代末にバンドを離れた後は、Antony and the Johnsonsのメンバーとなる一方で、Burnt Sugar the Arkestra Chamber、Leona Naess、Angela McCluskeyなど様々なミュージシャンたちとセッションを繰り広げていく。
ジュリアが2007年にリリースした最初のソロ・アルバム『Delay』は、そんな活動と無関係ではない。彼女はAntonyやその他のグループとのツアーで訪れた各国の“空港”にインスパイアされて、このアルバムを作った。