ニコラス・ウィンディング・レフン・インタビュー 『オンリー・ゴッド』

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アートとは感情の解釈でその根底には衝動があり、セックスと暴力がキャラクターを定義づける

デンマーク出身の異才ニコラス・ウィンディング・レフン監督とライアン・ゴズリングが再びタッグを組んだ新作『オンリー・ゴッド』には、『ドライヴ』とはまったく違う世界が広がる。

この映画を観てまず思い出すのは、レフン作品の主人公たちが、その暴力性とは相容れないような複雑なセクシャリティを体現していることだ。タイのバンコクを舞台にした新作の主人公は、兄とともにボクシングジムを隠れ蓑に麻薬取引で幅を利かせるジュリアンだが、この人物も例外ではない。

僕が描くキャラクターたちはそのセックスライフによって定義されている。というのも、アートというのは感情の解釈であって、その根底には衝動があり、セックスと暴力がキャラクターを定義づけるからだ。たとえば『プッシャー』の主人公は、セックスをしない男で、女に愛情表現ができないために自分の首を絞めてしまう。『ブロンソン』の主人公は、名声を得たいがために刑務所に入る。自分のセックスライフを放棄する代わりに名声を手にするわけだ。『ドライヴ』でゴズリングが演じる男は、いわば純愛信奉者で、観念的な愛を求めるので彼女と結ばれることがない。『オンリー・ゴッド』のジュリアンの場合は、母親の子宮に鎖で繋がれ、それを断ち切れない男だ。だからセクシャリティが歪み、セックスができず、暴力で発散する

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『オンリー・ゴッド』のニコラス・ウィンディング・レフンにインタビューした

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主人公のなかのマスキュリニティとフェミニニティをめぐって

2014年1月25日(土)より新宿バルト9ほかで全国ロードショーになる新作『オンリー・ゴッド』(13)のプロモーションで来日したデンマーク出身のニコラス・ウィンディング・レフン監督にインタビューしました。

タイのバンコクを舞台にした『オンリー・ゴッド』は、様々な賞に輝いた『ドライブ』につづいてライアン・ゴズリングとレフンが再びタッグを組んだ作品ですが、『ドライブ』の続編のようなものを想像していると、頭を抱えることになると思います。

『ドライブ』にはジェイムズ・サリスの同名小説という原作があり、脚色の段階でかなり手が加えられてレフンの世界に塗り替えられてはいましたが、彼の世界がストレートに表現されていたわけではありません。

これに対して『オンリー・ゴッド』は、ストレートに表現した作品で、その視点や表現など、『ドライブ』以前の『ブロンソン』や『ヴァルハラ・ライジング』に通じるものがあります。ゴズリング扮するジュリアンが最終的に到達する境地は、『ヴァルハラ・ライジング』のワン・アイのそれと似た空気を漂わせています。

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