今週末公開オススメ映画リスト2011/08/04



週刊オススメ映画リスト

今回は『一枚のハガキ』と『モールス』の2本です。

『一枚のハガキ』 新藤兼人

新藤兼人監督が自ら「最後の映画」と宣言して作り上げた作品。監督の実体験をもとに戦争の悲惨さや不条理が描き出されるので、登場人物と彼らが繰り広げるドラマに関心が向かうかと思うが、もうひとつ見逃せないものがある。

たとえば、『ふくろう』に、登場人物を見つめる“ふくろう”という他者の視点があったように、この映画にも、鳥や虫の声を通して常に外部の自然が意識されている。そして、最後にそんな自然の声が大きな意味を持つことになる。詳しいことは、『一枚のハガキ』劇場用パンフレットの作品評をお読みください。

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マット・リーヴス 『モールス』 レビュー

Review

レーガン時代のアメリカが少年少女の孤独を際立たせる

『モールス』は、トーマス・アルフレッドソン監督のスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』(08)のリメイクだ。オリジナルとの大きな違いは、舞台がストックホルム郊外の田舎町からニューメキシコ州のロスアラモスの田舎町に変わったことだけではない。導入部にレーガン大統領の演説が挿入される『モールス』では、レーガン時代のアメリカが物語に独特の陰影を生み出していく。

レーガンはソ連を「悪の帝国(evil empire)」と呼び、善と悪の対立の図式を強調した。善はこちら側にあり、悪は向こう側にある。雪に閉ざされた田舎町をアメリカの縮図と見るなら、アビーという少女は向こう側からそこにやって来ることになる。

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Rudresh Mahanthappaが切り拓くハイブリッドな世界

トピックス

文化的、伝統的、地理的な境界を揺さぶり、広がるネットワーク

読むのを楽しみにしていながらそのままになっていたall about jazz.comのルドレシュ・マハンサッパ(Rudresh Mahanthappa)のインタビューを原稿書きの合間にやっとチェック。このサイトのインタビューは基本的にボリュームがあるが、特にマハンサッパの場合は質問もたくさんあったはず。この数年、実に多様なコラボレーションを繰り広げているからだ。

それは彼がインド系であることと無関係ではない。マイナーなレーベルからアルバム・デビューした頃には、インドというレッテルを貼られ、ラヴィ・シャンカールをゲストに…みたいなアドバイスをされることもあったらしい。もちろん、彼が求めていたのはそんな音楽ではなかった。

39歳のマハンサッパと75歳のバンキー・グリーンというまったく世代の異なるアルトサックス奏者がコラボレーションを繰り広げる『Apex』(2010)は、その当時、彼がどんな音楽を求めていたのかを示唆する。

バンキー・グリーンのことは、ノース・テキサスからバークリーに出てきて音楽を学んでいるときに、サックスの講師ジョー・ヴィオラから教えられた。グリーンのアルバム『Places We’ve Never Been』を聴いてぶっ飛んだ彼は、デモテープを送り、助言を求めた。それが関係の始まりだ。

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『floating view 郊外からうまれるアート』 [編] 佐々木友輔



News

“郊外”をこれまでとは違う新たな視点からとらえ表現する試み

今年の2月から3月にかけてトーキョーワンダーサイトで行われた企画展「floating view 郊外からうまれるアート」の展覧会カタログ+論考集が刊行されました。

amazonで8月1日より販売開始、書店に置いていただく準備も進められているとのこと。

若林幹夫、藤原えりみ、藤田直哉、丸田ハジメ、渡邉大輔、柳澤田実、池田剛介、宮台真司、floating view参加作家という豪華な執筆陣で、私も参加させていただきました。詳しい内容はこちらをご覧ください。

『floating view 郊外からうまれるアート』

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『ミケランジェロの暗号』試写



試写室日記

本日は試写を一本。

『ミケランジェロの暗号』 ウォルフガング・ムルンベルガー

アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『ヒトラーの贋札』を送り出した制作会社とプロデューサーが手がけた作品。プロダクション・ノートによると、プロデューサーのヨゼフ・アイヒホルツァーは、ポール・ヘンゲの脚本を渡されたとき、再びナチスを題材にした映画を作ることをためらったが、それだけの理由で素晴らしい物語を諦めるほうが間違っていると考え直したという。

この2作品には、単にナチスを題材にしているというだけではなく、もっと興味深い、というよりも重要な共通点がある。

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