Rudresh Mahanthappaが切り拓くハイブリッドな世界

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文化的、伝統的、地理的な境界を揺さぶり、広がるネットワーク

読むのを楽しみにしていながらそのままになっていたall about jazz.comのルドレシュ・マハンサッパ(Rudresh Mahanthappa)のインタビューを原稿書きの合間にやっとチェック。このサイトのインタビューは基本的にボリュームがあるが、特にマハンサッパの場合は質問もたくさんあったはず。この数年、実に多様なコラボレーションを繰り広げているからだ。

それは彼がインド系であることと無関係ではない。マイナーなレーベルからアルバム・デビューした頃には、インドというレッテルを貼られ、ラヴィ・シャンカールをゲストに…みたいなアドバイスをされることもあったらしい。もちろん、彼が求めていたのはそんな音楽ではなかった。

39歳のマハンサッパと75歳のバンキー・グリーンというまったく世代の異なるアルトサックス奏者がコラボレーションを繰り広げる『Apex』(2010)は、その当時、彼がどんな音楽を求めていたのかを示唆する。

バンキー・グリーンのことは、ノース・テキサスからバークリーに出てきて音楽を学んでいるときに、サックスの講師ジョー・ヴィオラから教えられた。グリーンのアルバム『Places We’ve Never Been』を聴いてぶっ飛んだ彼は、デモテープを送り、助言を求めた。それが関係の始まりだ。

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『Natsukashii』 by Helge Lien Trio

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この北欧のジャズ・ピアニストの世界のとらえかたは独特では?

日本とアメリカでは、ノルウェーのジャズ・ピアニスト、ヘルゲ・リエン(Helge Lien)の認知度に大きな隔たりがある。日本では初期のアルバムから注目され、プロデュースにも乗り出すというように以前から認知されていたが、アメリカでは、前作『Hello Troll』(2008)が、all about jazz.comのレビューで、ほとんどのアメリカ人が知らないピアニストのアルバムとして紹介されていた。

今年リリースされたヘルゲ・リエン・トリオの新作は、アルバム・タイトルがそんな隔たりを象徴していると見ることもできる。“Natsukashii(懐かしい)”という日本語がタイトルになっているのだ。そのタイトル・ナンバーは、音の間といいメロディといい、私たちが馴染めるような楽曲になっている。

『Natsukashii』 (2011)

ただし、“Natsukashii”という言葉が、ごく普通に「懐かしい」を意味しているとは限らない。リエンの音楽については、スタイルやテクニックとは異なる部分で、世界のとらえかたに、どことなく個を超えているところがあるように思える。

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『The Whole Tree Gone』 by Myra Melford’s Be Bread

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戦争と自然、繊細なアンサンブルに込められた意味を探る

ジャズ・ピアニスト/コンポーザーのマイラ・メルフォード(Myra Melford)が昨年リリースしたBe Bread名義の2枚目『The Whole Tree Gone』(2010)は、とても気に入っていて、いまもときどき聴いている。

このアルバム・タイトルについては、環境問題やエコロジーを意識しているのではないかと考える人もいるだろう。ずいぶん昔の話になるが、彼女が大学で選考していたのは環境科学だった。だからそういうことに関心を持っていても不思議ではない。しかし、このタイトルにはもっと深い意味が込められているように思う。

『The Whole Tree Gone』 (2010)

同じBe Bread名義でも、前作の『The Image of Your Body』(2006)とこのアルバムでは、そのスタイルやサウンドに大きな違いがある。

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『There He Unforeseen』 by Hallock Hill

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陽光が差し込む板壁の向こうとこちらにはどんな世界が広がっているのか

Hallock HillことTom Leckyの『The Union』については、以前にアルバム日記で取り上げたが、早くも新しいアルバム『There He Unforeseen』が登場した。『The Union』のジャケット・アートは、巨大なシャンプレーン湖にたつ波のイメージだったが、こちらは自然そのものではなく、小屋の板壁の隙間から陽光が差し込むイメージだ。そして中身も、楽器やスタイルなど異なる空間が広がっている。

there he unforeseen

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『Live at Sint-Elisabethkerk』 by Balmorhea

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ベルギーの教会に広がるテキサスのサウンドスケープ

Balmorheaは、テキサス州オースティンを拠点に活動するインストゥルメンタル・アンサンブル。2006年にRob LoweとMichael Mullerによって結成された。ギター、バンジョー、ピアノなどを操るこのふたりに、ヴァイオリンのAisha Burns、チェロのDylan Rieck、ダブルベースのTravis Chapman、ドラムスのKendall Clarkが加わった6人組である。

筆者は固有の場所性が失われていく状況のなかで、現実に縛られない領域や次元にどのように場所性が見出され、サウンドスケープが生み出されるのかに関心を持っている。もちろん誰もがそれを意識して音楽を作っているわけではないが、Balmorheaの場合はかなり自覚的であるように思う。

たとえば、フィールド・レコーディングとインストゥルメンタルが高度に融合した2作目の『River Arms』では、スモールタウンで過ごした子供の頃の記憶や<The Summer>や<The Winter>というタイトルに表れている季節に対する感覚が場所性に結びついていた。

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