トッド・グラフ 『ジョイフル♪ノイズ』 レビュー
トッド・グラフが喚起した心と声のフュージョン
『ジョイフル♪ノイズ』が三作目の監督作になるトッド・グラフ。彼の作品には明確な共通点がある。落ちこぼれやはみ出し者が、音楽を通して友情や恋を育み、壁を乗り越えて成長を遂げていく。
サンダンス映画祭で喝采を浴び、日本でも人気の高い監督デビュー作『キャンプ』(03)では、ゲイや肥満やもてない悩みを抱える若者たちが、サマーキャンプでミュージカルの厳しい課題に打ち込み、個性を開花させる。
二作目の『Bandslam』(09)では、デヴィッド・ボウイを崇拝するはみ出し者の高校生が、人気者の女子に音楽の知識を認められ、彼女のバンドのマネージャーになったことから、バンドのコンテストという目標に向かって人の輪が広がっていく。
『ジョイフル♪ノイズ』では、反抗的なランディや両親の間にある溝に心を痛めるオリヴィア、アスペルガー症候群に悩む彼女の弟ウォルターの関係が、音楽を通して変化していく。