『建築学概論』 『三姉妹~雲南の子』 試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『建築学概論』 イ・ヨンジュ

韓国で恋愛映画初の400万人超の大ヒットを記録したという話題作。かつて初恋の痛みを分かち合った男女が、15年後に再会し、欠けていたピースを埋めて過去に決別を告げる。過去のふたりをイ・ジェフンとスジが、現在のふたりをオム・テウンとハン・ガインが演じている。

“フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ”で公開されるミア・ハンセン=ラブ監督の『グッバイ・ファーストラブ』(近くレビューをアップする予定)と比べてみても面白いかもしれない。どちらも初恋を題材にしていて、再会が描かれるだけではなく、そこに建築という異質な要素が絡んでくるからだ。

『建築学概論』は韓国ではリピーターが多かったようだが、それもわかる気がする。最初に観るときには、男女双方の複雑な感情を際立たせていく建築の要素が徐々に明確になるが、それをわかっていてみるとまた印象が変わるはず。

たとえばこの物語には、かつて交わされた彼女の家を建てるという約束が、15年後に果たされるという展開があるが、建築学科に通う大学1年の彼が思い描いた家と、建築士となった彼が実際に建てる家の距離からは、痛みや切ない感情を読み取ることができる。詳しいことはいずれレビューで。

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ミケランジェロ・フランマルティーノ 『四つのいのち』 レビュー

Review

ドキュメンタリーとフィクションの境界を超え、独自のアニミズムの世界を切り拓く

イタリア出身の新鋭ミケランジェロ・フランマルティーノが監督した『四つのいのち』(2010)の舞台は、南イタリア・カラブリア州の山岳地帯だ。映画の導入部では、黙々と山羊の世話をする年老いた牧夫の生活が、静謐な映像のなかに描き出される。

だがこの牧夫はタイトルにある“四つのいのち”のひとつに過ぎない。やがて彼は息を引き取り、入れ替わるように仔山羊が誕生する。その仔山羊は群れから逸れ、樅の大木の下で眠りにつく。冬が過ぎて春になると樅の大木が切り倒され、村の祭りのシンボルとなる。そして祭りが終わると、大木は伝統的な手法で炭となる。この映画では、人間、動物、植物、無機物がサークルを形成していく。

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趙曄(チャオ・イエ)『ジャライノール』レビュー



Review

ふたりは「日常」と「記憶」のはざまにある風景を旅する

中国映画界の新鋭チャオ・イエ監督の長編第2作『ジャライノール』は、実に素晴らしい映画だった。

舞台は、ロシアと国境を接する内モンゴル自治区にあるジャライノール炭鉱。そこは蒸気機関車の最後の聖地といわれる場所であり、その広大な風景のなかに、年老いた機関士ジュー・ヨウシアンと、年の離れた後輩リー・ジーチョンの絆が描き出される。

チャオ・イエ監督が見つめるのは明らかに消えゆくものだが、この映画にはノスタルジーとは一線を画す強度がある。

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『ジャライノール』2011年1月15日(土)よりポレポレ東中野にてロードショー!!

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