ロジャー・ドナルドソン 『ハングリー・ラビット』 レビュー

Review

パズルのように組み合わされた現実と虚構のニューオリンズ

ロジャー・ドナルドソン監督の『ハングリー・ラビット』では、主人公の高校教師ウィルが、ある組織と関わりを持ったことから悪夢のような状況に引きずり込まれていく。その秘密組織は、法の裁きを逃れた犯罪者たちに、“代理殺人”というかたちで厳しい制裁を加える。映画では組織の全貌が具体的に明らかにされることはないが、より重要なのは組織と舞台の関係だ。

ウィルと妻のローラがマルディグラを楽しむ場面から始まり、ハリケーン・カトリーナの襲来によって廃墟と化したショッピングモールがクライマックスの背景となるように、この映画ではニューオリンズという舞台が印象的に描かれている。しかも単なる背景にとどまらず、この街の現実が物語と絡み合ってもいる。

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『ハングリー・ラビット』劇場用パンフレット

News

ニコラス・ケイジ主演のスリラー6月16日(土)よりロードショー!

ロジャー・ドナルドソン監督の新作『ハングリー・ラビット』の劇場用パンフレットにレビューを書いています。

ニコラス・ケイジが演じるのは、愛する妻を傷つけられた悲しみと怒りのために、見知らぬ男サイモンからの“代理殺人”の提案を受け入れてしまう高校教師ウィル。その結果、彼は泥沼にはまり込み、孤立無援の戦いを余儀なくされる。

法の裁きを逃れた犯罪者たちに制裁を加える自警団的な秘密組織を題材にした物語は、治安が悪く、犯罪が多発する地域であればどこでも成り立ちそうだが、この映画は場所にもこだわっている。終盤である事に呆然とする主人公に対して、ある人物が「ここはニューオリンズだから」と語る。

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『ハングリー・ラビット』 『キラー・エリート』 『モバイルハウスのつくりかた』 試写

試写室日記

本日は試写を3本。

『ハングリー・ラビット』 ロジャー・ドナルドソン

ニコラス・ケイジ主演最新作。妻を暴行された高校教師ウィル(ニコラス・ケイジ)が、哀しみと怒りに駆られて、サイモンと名乗る謎の人物(ガイ・ピアース)からの“代理殺人”という提案を受け入れ、次第に泥沼にはまっていく。

マルディグラに始まり、スーパードームにおけるモンスター・トラック・ラリーを経て、ハリケーン・カトリーナによって閉鎖に追い込まれたモールで最後の山場を迎えるというように、ニューオーリンズという舞台が不可欠の要素になっている。

同じくケイジ主演で、ニューオーリンズが舞台の『バッド・ルーテナント』(09)と比較してみると面白いだろう。

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