『Eternity of Dimming』 by Frontier Ruckus

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彼らはサバービアから生まれる音楽の可能性を確実に広げている

筆者が“サバービア”絡みで強い関心と愛着を持っているミシガン出身のバンド、Frontier Ruckusのニューアルバム『Eternity of Dimming』が出た。20曲入りのダブルアルバム。これは、アルバム日記としてさらりと紹介するよりも、少し時間をかけてレビューとしてアップしようと最初は思ったのだが、気持ちがそれを許さない。

仕事の原稿を書きながら、流していると心が揺さぶられてしまい、仕事が手につかない。これはもうひとまずアルバム日記として感じたことを吐き出してしまうしかない。

前作『Deadmalls & Nightfalls』アルバム日記で書いたように、このバンドが生み出す音楽の背景にはサバービアがある。前作では、彼らの地元ともいえるWaterford Townshipにあって、2009年に閉鎖されたショッピングモール、Summit Place Mallの写真がジャケットにも使われ、音楽のキーイメージにもなっていた。それは彼が知る固有のものであると同時に、全国に広がるデッドモールの象徴にもなっていた。

『Eternity of Dimming』

『Eternity of Dimming』

新作にも同じことがいえる。バンドのフロントマンであるMatthew Miliaの歌には、店の固有名詞が散りばめられている。それは、大手デパートチェーンのJ.C.ペニーやKOHL’S、ピザ・ショップのLittle Caesars、日本でもお馴染みのSubways、朝食メニューのレストラン・チェーンのIHOP、建築資材や家庭用品を扱うチェーンのHome Depot、コンビニやボーリング場、クルマの特約店などだ。それは彼らの地元であるデトロイト郊外の風景であると同時に、アメリカ全土に広がるサバービアの風景でもある。

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アルトゥーロ・ポンス監督+スタッフ・インタビュー

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スペインから故郷の現実の生活を見て、マジック・リアリズムがあると気づいた

『羅針盤は死者の手に』の監督、音楽、衣装、プロデューサーに取材でお伝えしたインタビューの記事がTIFFのサイトにアップされました。メキシコ出身でスペインを拠点に活動するアルトゥーロ・ポンス監督、監督夫人で衣装を手がけたアンナ・リベラ、ハーバード大学に在籍し、作曲家として受賞歴もあるエドガル・バロソ、主にドキュメンタリーのプロデュースを手がけ、自ら監督もするオスカル・ラミレス・ゴンサレスというスタッフ4者との賑やかな対話です。

特にポンス監督の最後の発言には、彼の独自の視点や人間性が表れているように思いました。

インタビューは↓こちらからどうぞ。
【公式インタビュー】コンペティション『羅針盤は死者の手に』

『羅針盤は死者の手に』の監督、音楽、衣装、プロデューサーに取材

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普段は楽天的だが、実は緻密な映画作りをしていることを確認

TIFFのコンペ作品『羅針盤は死者の手に』の監督アルトゥーロ・ポンス、音楽のエドガル・バロソ、衣装のアンナ・リベラ、プロデューサーのオスカル・ラミレス・ゴンサレスにインタビューした。紅一点のリベラがスペイン出身で、他の3人はメキシコ出身。ラテン的というか、とにかくノリノリで、一人に質問していても、みんなが次々に答え、通訳さんのメモが整理がつかないくらい長くなる。そして訳しだした通訳さんに声援を送る。

但し、映画の中身に関するコメントはどれも実に興味深かった。衣装から画像の彩度まで、細部から全体の流れまで、驚くほど緻密な作りをしていることがわかった。音楽のバロソが、この映画を10回以上観ているが、いまだに発見があると語っていた。ちなみにこの人、監督と昔からの友だちで、日本ではおそらくほとんど知られていないと思うが、拠点にしているアメリカでは作曲家/演奏者として認知され、いろいろ賞も受賞している。

“Sketches of Briefness” for Ensemble by Edgar Barroso. Performed by ICE (International Contemporary Ensemble). from Edgar Barroso on Vimeo.

“Engrama” for String Quartet by Edgar Barroso / The Diotima Quartet from Edgar Barroso on Vimeo.

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『floating view 郊外からうまれるアート』 [編] 佐々木友輔



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“郊外”をこれまでとは違う新たな視点からとらえ表現する試み

今年の2月から3月にかけてトーキョーワンダーサイトで行われた企画展「floating view 郊外からうまれるアート」の展覧会カタログ+論考集が刊行されました。

amazonで8月1日より販売開始、書店に置いていただく準備も進められているとのこと。

若林幹夫、藤原えりみ、藤田直哉、丸田ハジメ、渡邉大輔、柳澤田実、池田剛介、宮台真司、floating view参加作家という豪華な執筆陣で、私も参加させていただきました。詳しい内容はこちらをご覧ください。

『floating view 郊外からうまれるアート』

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『Deadmalls & Nightfalls』 by Frontier Ruckus

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閉鎖された巨大モールの記憶、サバービアの風景としての廃墟

茨城の取手を拠点に、「郊外」をテーマにした作品を撮る佐々木友輔監督の『新景カサネガフチ』(10)では、ショッピングセンターや東急ストア取手店の閉店・閉鎖のエピソード、その記憶を通して、人と風景の関係が掘り下げられていた。

ミシガン出身のバンド、Frontier Ruckusの音楽の背景にも“サバービア”がある。彼らが昨年リリースした『Deadmalls & Nightfalls』のジャケットには、ミシガンのWaterford Townshipにあったショッピングモール、Summit Place Mallの写真が使われている。

『Deadmalls & Nightfalls』 (2010)

Summit Place Mallは1963年に誕生し(最初はPontiac Mallと呼ばれていた)、2009年にその長い歴史に幕をおろした。↓これらの映像には、巨大モールの栄枯盛衰を見ることができるだろう。

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