今週末公開オススメ映画リスト2012/05/10

週刊オススメ映画リスト

今回は『ロボット』『ムサン日記~白い犬』『さあ帰ろう、ベダルをこいで』『キラー・エリート』(順不同)の4本です。

『ロボット』 シャンカール

ド派手で奇想天外で突っ込みどころが満載のVFXシーンも確かにインパクトがあるが、個人的にいちばん強烈だったのは“スーパー・スター” ラジニカーントのバイタリティだ。

90年代末に、ラジニ主演の『ヤジャマン 踊るマハラジャ2』(93)や『アルナーチャラム 踊るスーパースター』(97)などを取り上げた「インド映画のなかのタミル語映画」という原稿を書いたことを思い出した。

そのなかで、1949年生まれのラジニはもう決して若くはなく、地元では彼の後継者は誰かという話題も出るが、それでも彼の地位はなかなか揺るぎそうにないという現状を出発点に、根強い人気の背景についていろいろ書いている。

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ステファン・コマンダレフ 『さあ帰ろう、ペダルをこいで』 レビュー

Review

見えない世界と繋がるサイコロを振るとき新たな人生が始まる

ステファン・コマンダレフ監督の『さあ帰ろう、ペダルをこいで』(08)については、試写を観るだいぶ前から、ステファン・ヴァルドブレフが手がけたサントラを聴いていた。

ブルガリアを代表するクラリネット奏者で、バルカンの伝統やジャズを取り込んだ独自のジャンル(“ウェディング・バンド”ミュージック)を確立したIvo Papazovが参加していたこともあるが、さらにもうひとり、興味をそそられるミュージシャンが参加していた。

カメン・カレフ監督の『ソフィアの夜明け』の音楽と劇中のパフォーマンスで大きな注目を集めるようになったソフィア出身のバンド“Nasekomix”。このバンドでヴォーカル、アコーディオン、キーボードなどを担当するAndronia Popovaが1曲だけ参加し、ラテン・ナンバーを歌っている。そのことについては、ブログで彼らのデビューアルバム『Adam’s Bushes Eva’s Deep』を取り上げたときに書いた。

これはお気に入りのサントラなので、それを聴きながらテキストを読んでいただければと思う。

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『Adam’s Bushes Eva’s Deep』 by Nasekomix

Listning

カメン・カレフ監督のブルガリア映画『ソフィアの夜明け』を観て、ソフィア出身のバンド“Nasekomix”に魅了された人は少なくないはず。この映画には、<Lady Song>と<Inject Love Song (Inject Me With Love)>の2曲が、彼らの演奏シーンとともに挿入されていた。

『Adam’s Bushes Eva’s Deep』は、彼らのデビューアルバム。エレクトロニック、ジャズ、パンク、タンゴなど多様なジャンルを取り込みつつ、無駄を削ぎ落とし、空間を生かすミニマルな音作り。だから、アコーディンやキーボードも担当するAndronia Popovaの囁きかけてくるような、影と透明感のあるヴォーカルが際立ち、独特の親密さを生み出す。

adam eva

Adam's Bushes Eva's Deep

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