『ヴィンセントが教えてくれたこと』劇場用パンフレット

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偏屈老人とひ弱な少年の友情

2015年9月4日(金)より全国ロードショーになるセオドア・メルフィ監督・脚本・製作の『ヴィンセントが教えてくれたこと』(14)の劇場用パンフレットに、「物語に自然に溶け込むキャストの妙。」というタイトルで作品評を書いています。

ビル・マーレイを中心に、新人ジェイデン・リーベラー、メリッサ・マッカーシー、ナオミ・ワッツ、そしてテレンス・ハワードとクリス・オダウドというキャストの個性と彼らのアンサンブルを通して作品の魅力に迫るような原稿になっています。

劇場で映画をご覧になりましたら、ぜひパンフレットもお読みください。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ 『プリズナーズ』 レビュー

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過去や罪に囚われた者たちの運命を分ける、偶然と信仰心

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『プリズナーズ』は、ペンシルヴェニア州で工務店を営むケラーとその息子が鹿を狩る場面から始まる。親子が狩猟を終え、獲物を車の荷台に載せて自宅に向かっているとき、ケラーは父親から教えられたことを息子に伝える。それは「常に備えよ」という言葉に集約される。実際、自宅の地下室には、食料から防毒マスクまでサバイバルに必要なあらゆるものが備えられている。私たちは、ケラーの父親というのは、非常に用心深く、何事にも動じない人物だったのだろうと思う。

ところが、ドラマのなかでそんな印象が変わる。ケラーの行動に不審を抱いた刑事のロキは、古い新聞記事から、州刑務所の看守を務めていた彼の父親が自宅で自殺したことを知る。その事情は定かではないが、当時ティーンエイジャーだったケラーが立ち直れないほどのショックを受けたことは間違いない。

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ニールス・アルデン・オプレヴ 『デッドマン・ダウン』 レビュー

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異なる世界を生きる他者との出会い、復讐という呪縛からの解放

『デッドマン・ダウン』は、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』で成功を収めたデンマーク人監督ニールス・アルデン・オプレヴのハリウッド進出作となるサスペンス・アクションだ。

主人公は、裏社会で不動産業を牛耳るアルフォンスの下で働く殺し屋ヴィクター。アルフォンスは正体がわからないやからからの執拗な脅迫に悩まされ、そんなボスを見つめるヴィクターには別の顔がある。妻子を殺され、自分も殺されかけた彼は、名前を変え、素性を隠し、密かに復讐の計画を進めている。

そんなとき、向かいのマンションに住む顔見知りの女ベアトリスが、ヴィクターに接触してくる。彼女の顔には交通事故による生々しい傷跡があった。自宅のバルコニーから彼が人を殺すのを目撃し、撮影していたベアトリスは、事故によって彼女の未来を奪った男の殺害を依頼する。

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