ロマン・ポランスキー 『ゴーストライター』 レビュー



Review

「私は私ではない。あなたは彼でも彼女でもない。彼らは彼らではない」

ロマン・ポランスキーの『ゴーストライター』の主人公は、元英国首相アダム・ラングの自叙伝執筆を依頼されたゴーストライターだ。彼はラングが滞在するアメリカ東海岸の孤島を訪れるが、執筆の作業には不穏な出来事がつきまとう。

前任のライターの事故死には不明な点があった。ラングが対テロ戦争で拷問に加担したというニュースが流れ、マスコミが押し寄せる。ラングの過去を調べだした彼は、いつしか国際政治の暗部に踏み込んでいる。

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『プレイ』 『最強のふたり』 『デタッチメント』 『哀しき獣』 試写

試写室日記

22日から始まるTIFF(東京国際映画祭)の上映作品を4本。

『プレイ』 リューベン・オストルンド

スウェーデンのリューベン・オストルンド監督が実話にインスパイアされて作り上げた作品。タイトルの『プレイ』が示唆するものは、ミヒャエル・ハネケの『ファニーゲーム(Funny Games)』に呼応しているともいえるし、マチュー・カソヴィッツの『憎しみ』の世界をハネケ的な分析と表現で描いた作品のようでもある。

生理的に拒絶反応を起こすような表現も盛り込まれており、賛否両論あるかと思うが、筆者は引き込まれた。シェルビー・スティールが『黒い憂鬱』で提起しているような問題とも絡む要素がある。

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イエジー・スコリモフスキ・インタビュー



トピックス

私の実体験とか思いが、何らかのかたちで表れていることは間違いない

17年ぶりに監督した『アンナと過ごした4日間』(08)で見事な復活を遂げたポーランドの鬼才イエジー・スコリモフスキ。待望の新作『エッセンシャル・キリング』(10)では、アフガニスタンにおける戦闘から始まる過酷なサバイバルが描かれる。バズーカ砲で米兵を吹き飛ばした主人公は、米軍に拘束され、拷問を受け、他の捕虜とともに軍用機と護送車でどこかに移送される。ところが、深夜の山道で事故が起こり、彼だけが逃走する。

『アンナ~』と同じように、ポーランドの自宅の周辺を舞台にして、好きなように作れるのならもう1本撮ってもいいと思うようになった。自宅の近くに滑走路を備えた秘密の軍事施設と噂されるものがあることは知っていたが、そういう政治的な題材は、『手を挙げろ!』のことがあるので(※かつて彼はこの作品でスターリン批判をしたとされてポーランドを追われることになった)、考えないようにしていた。ところがある晩、雪の中を運転している時に、その滑走路の近くで道を飛び出してしまった。横転まではいかなかったが、映画の逃走の場面が急に思い浮かび、脚本を書き出した。でも後でポーランドでは雪が足りないことに気づき、ノルウェーに行って-35度のなかで撮影することになった

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『家族の庭』 『サルトルとボーヴォワール 哲学と愛』試写

試写室日記

本日は試写を2本。

『家族の庭』 マイク・リー

マイク・リーの作品は観ていることは観ているがあまり好きになれなかった。観ているうちに演劇と映画と一体どちらが大切なのだろうかという疑問がもたげてくる。彼の映画には、演劇が映画の上位にくる瞬間がある。だから「映画」に集中できないのだ。

『ヴェラ・ドレイク』もとてもしんどかったので、気が重かったのだが、この新作ははじめて心から酔うことができた。役者が素晴らしいことは最初からわかっているが、芝居でごりごり押してこない。空間のとらえ方とかカメラの動きに「映画」が感じられる。

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『マネーボール』 『永遠の僕たち』 試写



試写室日記

本日は試写を2本。

『マネーボール』 ベネット・ミラー

貧乏球団アスレチックスを常勝軍団に作り変えた男ビリー・ビーンをブラッド・ピットが演じる。監督のベネット・ミラーは『カポーティ』につづいて実在の人物を描くことになる。そのミラーの人物に対する鋭い洞察は『カポーティ』でも際立っていたが、新作でもフラッシュバックを交えながら、主人公の複雑な内面に迫っていく。

そんな監督のスタンスと、『ジェシー・ジェームズの暗殺』、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』、『ツリー・オブ・ライフ』などで磨きがかかったブラッド・ピットの眼差しや表情のパフォーマンスが素晴らしくマッチしている。スポーツを題材にした映画でありながら、フィールドの熱狂とは違うところでしっかり見せる。冒頭からグイグイ引き込まれた。

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