デイヴィッド・フィンチャー 『ソーシャル・ネットワーク』 レビュー
人間はネットワークを構成するノード(結節点)である
『ゲーム』に登場する実業家は、死の瀬戸際まで追い詰められるリアルな〝ゲーム〟を体験することでトラウマから解放される。『ファイト・クラブ』のヤッピーは危険な妄想と暴力のなかで生を実感し、彼を呪縛する消費社会に攻撃を仕掛ける。
『ゾディアック』の風刺漫画家は警察やマスコミを翻弄する殺人犯にとり憑かれ、人生を狂わせていく。『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』では、老人として生まれ、若返っていく男の目を通して世界が描き出される。
デイヴィッド・フィンチャーが強い関心を持っているのは人間の内面であり、内面を通して見える世界だ。そんな彼にとって、世界最大のSNS“フェイスブック”の創設者マーク・ザッカーバーグは格好の題材といえる。この天才ハッカーのヴィジョンでは、人間はネットワークを構成するノード(結節点)だったからだ。