今週末公開オススメ映画リスト2011/03/10+α

週刊オススメ映画リスト

今回は『ランナウェイズ』の1本です。おまけとして『台北の朝、僕は恋をする』の短いコメントをつけました。

『ランナウェイズ』 フローリア・シジスモンディ

70年代に一世を風靡し、来日もしたガールズバンド“ランナウェイズ”を題材にした作品。バンドのヴォーカルだったシェリー・カーリーの自伝『Neon Angel : The Cherie Currie Story』が原作。詳しいことは『ランナウェイズ』レビューをお読みください。

以下はおまけのコメントです。

『台北の朝、僕は恋をする』 アーヴィン・チェン

アメリカで生まれ育った(北カリフォルニアの郊外育ちとのこと)中国系の監督アーヴィン・チェンが、台北の街をどう描くのかがひとつの見所だろう。

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フローリア・シジスモンディ 『ランナウェイズ』レビュー

Review

壊れた家族とバンドという擬似家族の狭間で――もうひとつの『ブギーナイツ』

70年代に一世を風靡したガールズバンド“ランナウェイズ”を題材にしたこの映画で、まず注目すべきなのはサンフェルナンド・ヴァレーという舞台だろう。ロサンゼルスの郊外に広がるこの地域は、サバービアというテーマとも結びつきながら、映像作家の想像力を刺激し、アメリカのひとつの象徴として描かれてきた。

スティーヴン・スピルバーグは、『E.T.』をここで撮影した。ティム・バートンは『シザーハンズ』のプレスで「この映画は、ぼくの育った映画の都バーバンクの想い出がいっぱいつまっている」と語っているが、そのバーバンクもこの地域の縁にある。

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『キラー・インサイド・ミー』試写



試写室日記

本日は試写を1本。

『キラー・インサイド・ミー』 マイケル・ウィンターボトム

ウィンターボトムなのでジム・トンプスンの世界をどう映像に翻訳してみせるのか楽しみにしていたが、この監督ならではの世界を感じ取ることができなかった。これまでのなかでそういう作品は、『24アワー・パーティ・ピープル』だけだったのだが…。

かつてウィンターボトムはジョン・アーヴィングの『サイダーハウス・ルール』の映画化を進めながら、途中で自ら監督を降りたことがある。筆者が彼にインタビューしたとき、その事情をこのように説明していた。

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今週末公開オススメ映画リスト2011/03/03+α

週刊オススメ映画リスト

今回は2010年カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した『ブンミおじさんの森』、同グランプリを受賞した『神々と男たち』、2009年度ゴヤ賞を7部門で受賞した『アレクサンドリア』、『再生の朝に ―ある裁判官の選択―』の4本です。

おまけとして『コリン LOVE OF THE DEAD』の短いコメントをつけました。

『ブンミおじさんの森』 アピチャッポン・ウィーラセタクン

「森や丘や谷を前にすると 動物や他のものだった 私の前世が現れる」という冒頭の言葉、森や里山の映像、鳥や虫の鳴き声や羽音、草木や風が生み出すざわめき、見えないものの気配。そうした要素が一体となった未知の映像世界に引き込まれる。

この映画の劇場用パンフレットに、民俗学、アニミズム、神話などからアピチャッポン・ウィーラセタクンの独自の世界を読み解く作品評を書いています。生者と死者、現世と他界、人間と動物を通して、日本と東南アジアを結びつける視点も盛り込み、この作品がより身近に感じられるかと思います。ご鑑賞の際はぜひ!

さらにこの『ブンミおじさんの森』は、ラース・フォン・トリアーの『アンチクライスト』と対比してみるとさらに興味深い。そういうレビューを「宝島」2011年4月号に書いておりますので、ぜひお読みください。

『神々と男たち』 グザヴィエ・ボーヴォワ

1996年にアルジェリアで起きた武装イスラム集団によるとされるフランス人修道士誘拐・殺害事件を題材にした作品。誰もが心を揺さぶられる映画だと思いますが、筆者が注目したいのは冒頭に引用される詩編82章。「私は言う あなた方は皆 神々である しかし人間として死ぬだろう」という言葉は、様々な意味でこの映画と繋がっている。詳しいことは「キネマ旬報」2011年3月下旬号掲載のの作品評をお読みください。

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リウ・ジエ 『再生の朝に ―ある裁判官の選択―』レビュー



Review

死刑判決から処刑までの時間が喪に服すための異界となり、裁判官は死を通して生に目覚める

リウ・ジエ監督の『再生の朝に ―ある裁判官の選択―』は、中国で実際に車2台の窃盗で死刑になった青年のニュースや1997年の刑法改正にインスパイアされて作られた作品だ。

1997年、中国の河北省涿州市を舞台にしたこの映画には、立場の異なる三組の人物たちが登場し、複雑に絡み合っていく。

ベテランの裁判官ティエンは、娘を盗難車による轢き逃げで亡くして以来、無為に日々を送っている。彼の妻は飼いだした犬で気を紛らそうとするが、深い哀しみが癒えることはない。

貧しい家庭に生きる青年チウ・ウーは、車2台の窃盗で裁判にかけられ、死刑を宣告される。その判決は、ティエンを含む裁判委員会の合議で決定されたもので、チウ・ウーに判決を言い渡したのは、裁判官のティエンだった。

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